「Art's Report site/ZAKKAYA PARIS

戸田昭子「雑歌屋パリ」

vol.24

[雑歌屋:日本からパリ creation3 ]

さて、日本でひとり5000円する出し物を見に行きましたので、地元パリで見に行かない手はない、と、モンパルナス劇場へ行きました。ずっと気になっていた二人組み、シュヴァリエ&ラスパレス主演の“Banc“です。彼らは本当によくふたりでつるんでいます。自分たちで台本を書く「ツーメンショー」としてのお笑いも定評がありますが、他のお笑いの人々と同様にどちらもすばらしい役者です。

一番高い席が48Eのところ、ネットで40パーセント割引引きというのを発見、29Eで買いました。 しかし連休に入った土曜だったのですいており、当日の一番安い席19Eで入ってもよかったかも。 初めて入る劇場なのと、日本で「プレミア・秒殺チケット、電話もパソコンもつながらない」ということを経験したためか、こっちも気持ちがでかくなっており「一番高い席が半額近いならそうしよう」と思ったのです。(パソコンと格闘となりましたが、この安いチケットのシステムも面白いです。)子供はもしかしたら安く入れたのかも・・・まあ気にしていません。土曜は、18時、20時30分の2回。日本は週末によくありそうですが、同じ日に2回公演は珍しいかも。

細かいことはまた次回にまわすとして・・・ポスターには「特別60回公演」とあります。3月25日より始まり、「マチネ」は土曜18時。土曜の2階公演を除き、毎日一公演、日月曜日はお休みです。

プログラムを買うと、第一ページは、劇場のふたりのディレクターが写真入で。それから出演者二人の紹介に続き、台本作家、装置担当、照明、演出アシスタント等の経歴が写真つきで並びます。 そういえば、オペラも、メトロのポスターには、出演者よりも演出、装置、衣装、照明家の名前が目立ちます。

既存の舞台上に作られた傾斜舞台、幕は下りていて、問題のbancこと、ベンチ=この芝居では、ピアノの連弾用の長いいすがおいてあります。 設定は山の宿泊所。「もうすぐ日本公演だ」といいつつ、その自然におちついてしまって腰を動かさなくなるピアニスト2名。舞台奥の下からしつらえられた階段からふたりが現れます。 舞台装置は、手前はホテルの部屋:素敵ないす、テーブルなど。その奥に、ホテルのドアを含めたあるはずの壁を、窓のさんのような状態で柱状の材料を組み合わせたもの。その奥に木々が見え、さらに、すばらしいでかさの山がそびえたっています。いわゆる書割というのでしょうか、実施に描かれた絵ですが、どうもランプがついたり小さな細工もあるもようで非常に美しい。「プロの画家」ということで見ると、舞台の絵の専門家が、こうして「仕事」をしているのかも、と思わされます。

最初、手前にあるベンチによって、ピアノがそこにあることを暗示しています。最後の幕では、手前と奥とが完全に入れ替わります。たぶん、上からつっているのだと思いますが、上記の「柱状の材料のみを組み合わせた見えない壁」が手前、左右逆に来ます。(まさか置きなおしている暇はないと思うので)そして、初めてホテルの壁(木張り)前面と、ピアノを見ることができます。 客席の方がこんどは山になります。吊り装置のバトンがいくつ?ここの舞台の奥行きは深い。山を見上げることができます。

照明は、上後方よりスポット4つ、左右から4、5つくらいずつ。横からもずいぶんあったのでは? (日本の舞台がどこでもまぶしかったので、ついつい振り返って観察してしまいました。)劇場によっては、奥行きの少ないところもあります。10H劇場は狭そう・・・そういうところは、出てくる人間の話のみでなり立つものを出しているのかも。それにひとつの劇場に何組もの出し物がかさなっていることはめずらしくありません。 おそらくこの劇場は共同プロデュースとしてシュヴァリエ&ラスパレスを「売り出して」いるはず。こんな大きな装置と、床まで作りつけて、60回やらない手はありません。というか、これ、フランスの演劇の基本的なやり方のようです。つまりcreationがここでされた、といえるのです。

1817年にできたというモンパルナス劇場1886年に改装され現在に至っているそうです。(トイレだけは当時のではなさそうですが!)一階にレストランがあり、たとえば今回の演劇では、一番よい席とディナーの組み合わせプランで56E。1817年というと、ショパンはまだ7歳です。

http://www.theatremontparnasse.com/  劇場のサイトを見ていくと、directionというのが堂々一ページを占めています。 シュヴァリエ&ラスパレス http://www.chevallierlaspales.com/laspalesaccueil.html

戸田昭子

雑歌屋

http://zakkayamusique.hp.infoseek.co.jp/