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「キセルとスイカ」

 キセルの語源は、吸い口と先だけ金属がはまっているので、入口と出口だけの金を払うということからきているとは、初めて知った。自動改札になる前は、みんなよくキセルをしていたが、スイカ(SUICA)になって困難になった。遠距離だと乗る駅と降りる駅の二カ所で回数券や入場券を買えば可能らしい。ところが、これが電子計算機使用詐欺罪になるというのには驚いた。
 十二月十八日、革労協(赤砦社派)の活動家がこの罪で捕まり家宅捜索された。このこじつけには呆れた。かつては定期を二つ買ってキセルした会社員などが数十万円請求されたとの報道を見た。確かにスイカの自動改札にはコンピュータが入っている。しかし本来、人が行う改札業務を代行しているにすぎない。そしてこのキセルのやり方だと、人も間違いなく騙される。コンピュータだからというのは当たらない。要するに、絵に描いたような別件逮捕だ。米国では凶悪犯罪でも、手続きにミスがあると罪に問えない場合もあると、映画などで見る。いずれにせよ、このような別件逮捕は許されない。
 このようなキセルを詐欺というなら、スイカ自体のほうがよほど詐欺的である。最初に払わされる保証金は、使い続ける限り返ってこない。プリペイドなのに、回数券ではあった割引などの特典がない。十周年と宣伝しているが、その間に保証金だけで数十億以上、不当利益を得ている。定期をスイカで購入している場合、期限を過ぎると自動的にスイカのチャージから引き落とされる。切れる警告表示を出すのは簡単だから、意図的な過払いシステムだ。
 いずれにせよ、このキセル別件逮捕は、反原発などで勢いづく左翼勢力への牽制とも考えられ、人権団体なども指摘・追求すべき問題だ。何でもコンピュータにこじつける現代だが、機械はあくまで人間の仕事を代行しているにすぎない。このような別件逮捕が通用すれば、さまざまな社会活動への規制も強まるのではないか。

(2012/1/16 志賀信夫)



「九月大学」

 東大を九月入学にしようという動きが出て、早稲田、慶應も追従しようとしている。欧米の大半の大学に合わせて「国際化」をはかろうというものだ。確かに留学する人々や帰国子女には半年近くのずれが解消される。だが多くの大学はすでにスライド方式をとっているので、大学にとっては、どの程度影響するだろう。むしろ卒業がずれて就職も9月からとなれば、高校から幼稚園まで、さらには4月からの「年度」という役所の体制まですべて変わるかもしれない。
 むしろ、大学にはもっと大きな問題がある。それは現在の就職活動だ。以前は就職協定があり、大学4年の10月から企業、学生、大学ともに就職活動が解禁された。この協定がなくなったことで、年々就職活動が早期化し、現在では3年春からほとんどの学生が就職活動を始めることになってしまった。大学では2年までが一般教養で3年から専門課程。つまり大学本来の目的である研究時期に就職活動を始めることになり、大学が就職のための単なるブランドという性質をさらに高めてしまった。  これでは国際化しても、レベルが下がる一方だ。日本は学生の多さや教育レベルの高さに比べて国際的に業績が低い。理系論文が教授との多人数共著で本数を稼ぎ、文系論文が西欧追従に過ぎる。大学生と聞いて、「卒論」はとたずねる人もいないほど研究機関ではなくなった。
 今回の9月入学案を受けて、就職活動は卒論提出後から行うべきという意見が新聞に投書された。高校卒業後大学入学までにボランティアを行うという案もある。これらを参考に、9月入学になったら、その5カ月を高校卒業時はボランティアや短期留学、外国語学習などに当てて、論文提出はこれまでどおり2〜3月とすれば、出してから就職活動して9月就職という道筋ができる。若者の就職が困難といわれる現在、9月入学案もうまく活用すれば、大学を含めた教育を充実させ、レベルを上げる可能性があるのではないか。

(2012/1/30 志賀信夫)


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