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2011年11月のコラム



「雲の中」

 最近、gmail(ジーメール)を使う。スマートフォンからもアクセスできデータを利用しやすいのが理由だ。プロバイダーはメールが一杯など、忘れたころにトラブル。だからこのように、facebookなどのSNSやEvernoteなどデータをネット上に置く、クラウドコンピューティングが流行っている。
 しかし、便利に使いながらも、大きな疑問がある。それは膨大なデータが一組織のサーバーにある危険だ。個人データが集中し、勝手に利用される可能性は大。アマゾンを利用していると、買い物や検索データに基づいてお勧め商品を提示してくる。報道されたように、アマゾンは多くの出版社に電子書籍を提案しており、実現するとデータは一手に掌握される。グーグルもデータを収集・管理しており、ストリートビューで個人データが副次的に収集されたと報道された。
 これは世界中のデータが数社の米国企業に握られるということを意味しており、政治的な利用もたやすい。その株を他国の企業が掌握すれば、その国の利益に利用されうる。このクラウド技術の危険性はほとんど指摘されず、便利さのみ強調され推進されていることに、大きな疑問を抱くのだ。さらにアマゾンは日本国内の販売利益の税金を日本に払わない。日本法人が請求を受けても、米国企業として税収は米国に。クラウドを含めた利益は膨大だ。
 このような状況には警鐘を鳴らすべきではないだろうか。この半世紀、米国が進めるグローバリズムは、コスモポリタンでもインターナショナルでもなく、民主主義の皮を被った米国中心主義、帝国主義であり、戦争や紛争、TPPのみならず、コンピュータ世界でもそれが進められていることを認識すべきだ。注意深くしないと、自由に見えるバーチャルな世界の支配に抵抗できなくなる。
 クラウドとは雲で、ネットワークを意味するらしい。中で何が行われているのか、雲の上のことにしていては、やばくはないか。

(2011/11/21 志賀信夫)


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