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2010年2月のコラム


●シンダーブロック

 翻訳を読んでいて、プラスティック袋という言葉に出くわすと、ひっかかる。雑貨屋(ドラッグストア)などで買ったものを入れるので、ビニール袋やポリ袋らしいとわかるが、違和感がある。まず、ビニールとプラスティックは違うというのが日本人の認識なのだが、プラスティック袋と訳す翻訳者がいる。同様に気になるのが、シンダーブロックだ。どんな変わったブロックかと思うと、ブロック塀のブロックである。ブロック自体、煉瓦と訳されることもあるが、いずれにせよ、なぜわざわざシンダーブロックと訳すのか。

 こう思って調べると、ビニール袋が塩化ビニル製でダイオキシン発生源とされたから、そういう意味で、プラスティック袋と書いた人もいるらしい。しかし塩化ビニルでなくてもダイオキシンは出るし、ダイオキシンの毒性を低く評価する人もいる。そしてプラスティック袋自体を禁止する地域もある。ビニールは商標だからという説は否定されるが、プラスティック袋と書く違和感は変わらない。

 マジックインキはマジックが日本のメーカーの商標なので、フェルトペンなどと訳される。これは芯がフェルトなのでそういうのだろうが、わかりにくい。マジックとサインペンのどちらか、というのが一般的だろう。一時、商標にはRマークをつけたりしたが、現在は学術論文や、特別要求されないかぎり必要ない。

 やはり、翻訳は、日本語として一般に使われているものに近づける。それが読み手にとって第一に必要なことだ。翻訳を読んで、さらに辞書を引かなければならないとすれば、それは悪い翻訳、「悪訳」である。

 だから、現代のミステリーなどで、プラスティック袋、シンダーブロック、フェルトペンなどと平気で書く翻訳者には、はっきりと、「ノー」といい、翻訳力を疑おう。だが、この「ノー」は、「NO」(ダメ)なのか、「Know」(知れよ)なのか、発音は「ノウ」なのか。僕も翻訳家には向かないなあ。


(2010/2/22 志賀信夫)


コラムを書かねば、とMacを立ち上げたら、まさにバンクーバーオリンピックが始まる時刻。 開会式マニアとしては、これは観なければ!と片目はキーホールTVに、もう片方はエディタ ーをとMacに向かっています。
開会式実況中継。
ちょっとTwitterに毒されてるかもしれません。

しかし、早くも醒め気味。
バンクーバーオリンピックでは、北京の轍を踏まないためか、開会式の演出上、事前録音ありとか感動が薄れるようなことを公表しています。
開会式前の公式練習で、リュージュの選手が亡くなったことも今のところまだ触れられていない、とネガティブキャンペーンを一人でやってますが、原因はそんなことじゃない。

日本が昼間、というより昼前だからです。

土曜日で、会社が休み、おかげでライブで観られるのはラッキーですが、眠気と戦いつつ、「誰も寝てはならぬ」とか歌われながら、頑張って観ないと盛り上がらないんです。

カナダ国歌。
16歳のジャズシンガーだそう。
日本に、本格的な歌唱ができたうえで、エンターテイナー性もあり、流行に迎合しない歌い手って誰だろうと、こういう時に考えてしまいます。

それにしても、先住民の皆さんの服は可愛いなぁ。色の鮮やかさとか模様とか、いろんな国の「先住民」と呼ばれる人々のそれと共通点があるように見えます。
どこと言わず、並べてみたら区別がつかないんじゃないかな。
でも、当事者には「どこんちの誰」までがわかる個性やルールがあるんでしょう。
カナダ全土から300人の先住民が集まってるそうで、本物の人が着てると少々奇抜な服もコスプレに見えずにホントにカッコイイ!

さぁ、もう選手入場、早いな、冬季は。 奇をてらわない演出もいいなぁ。
次の楽しみは選手団のユニフォーム。

冬のオリンピックは、圧倒的にジャージのユニフォームが多いのがちょっとつまらない。
それに今年は白の面積が大きくて単調だなぁ。
選手は真冬仕様なのに、観客たちはけっこう薄着。東京ドームと近い構造のドームだそう。

あぁグルジアの選手団は、喪章をつけてます。

スポーツの環境に恵まれていない選手がたった一人で行進する、その誇らしさと戸惑いのある表情はいいなぁ。

日本では、入村式に出席できなかった「服装の乱れた」選手、(競技に?)出場辞退勧告までされてたそうだけど、どんなカッコで入場してくるでしょう。
いま、「お腹しまいなさいっ」って服装の選手が映ったけど、これがそうかな?

(2010/2/15 WADA)


●チャリ

 最近、歩道を歩くと落ちつかない。周囲を自転車が頻繁に通るからだ。スピードを出してすり抜け、ベルを鳴らして人をどけて通る自転車も多い。歩道はいつから自転車道になったのか。法律が変わったのかと思って調べると、やはり自転車は車両、車道を通行するもので、通れない場合などに歩道を通行することもでき、人がいる場合は徐行か押して歩くということ。だから歩道で歩行者が自転車に脅かされるのはおかしい。

 親たちの世代を見ると、年齢とともに体が不自由になり、ちょっとした買い物に自転車を使う人も多い。老人がベルを鳴らして走るのは、車道と歩道の区別がない時代からの習慣か、歳と共に頑固になっているからか、ともあれ目くじらを立てるほどでもないとも思う。子どもや親子乗りの自転車なども車道では危ない。しかし、だいたい中学生以上五十代までの健康な大人は、基本的には歩道を走るべきでない。実際は路上駐車が多くて危険でもある。自転車のためのみならず、車の路上駐車をしっかり取り締まる必要がある。

 法律では、自転車がベルを鳴らして歩行者を排除して歩道を走るのは2万円以下の罰金に当たるらしい。だから歩行者は胸を張って、むやみにどかないように。ベルを鳴らして走る人は、「どけどけ」と蹴散らしていることを自覚すべきだ。

 自転車の不法駐車はずいぶん減り、エコブームで再び自転車が見直されている。ただ、放置自転車というコンセプトは以前から疑問で、本当に放置している人は、寸借の人くらいだろう。自転車を使う身になると、駐車場所がなく、一時駐車向無料駐車場と通勤通学向の有料駐車場が高架下にあればいいのだが、根本的な整備がまだまだ必要だ。身近な自転車ゆえに、対症療法的な対策でなく、利用者と行政がきちんとした利用モデルを作らないと、自転車はどんどん迷惑な存在になる。もっとも自転車からすれば、「チャリン」とベルを鳴らすから、チャリなんですけど。

(2010/2/8 志賀信夫)


友人に薦められ、それはぜひと機会を望んでいたジャズピアニストのソロライブ。
とても力強く、ピアノってハンマーが鋼線を叩いて音を出す楽器なんだと思い出す。
さらにここのピアノのハンマーは金属製かしら?と思うほどに「へヴィメタル」な音。
チェンバロの響きに近いような。。。
また、ペダルに置いていない足でとるリズムも力強く、かなりのアクセントになっている。
ということで、だいぶ男っぽいピアノだけど、演奏してるのはうら若き乙女な片倉真由子。
洗足〜バークリー〜ジュリアードと、足跡をたどると王道の29歳。
「東北のご出身?」といいたくなる、黒目がちの強い視線とほんのり上気の頬。

MCもまた、ピアノと同じようにしっかりした声、口調。
朴訥、というと若い女の子にはかわいそうかもしれないけれど、地吹雪の中を一歩一歩踏みしめて歩く東北人の辛抱強さは、彼女のイメージに重なる。
女性ジャズミュージシャン=なよっとした美女、なんて思ってる人の期待は大いに裏切るだろうけど、片倉真由子はかなり女子受けがいいと思うし、ホントに音を聴きたいと思う人好みだろう。
仙台出身なので、豪雪地帯に育ったわけではないだろうけど。

本格的にデビューして2年弱。たくさんのライブを重ねる中で、2009年にリーダー作”Inspiration”をリリース。
おそらく、自分のピアノに向き合う時間もない毎日だったろうと思う。
しかも、先日ジャズ誌において新人賞を受賞。ますます忙しくなるかもしれない。
今まさに吹雪の中を歩んでいるところだと思う。

1stセットのピアノはホントにそんな感じで、雪じゃなくて氷河にピッケル突き刺して登っていくのを見るようで、かなりハラハラ。
ピアノを弾きながら、歌い、足踏みし、リアルのだめ!
ほんとは、MCなんかしたくないのかもしれない。弾いた直後には、「頭が切り替わらなくて」と言うべき言葉も出せずにマイクを握っているのを見れば、曲にこめる力も知れようというもの。曲順もライブのバランスを考えて決めるのじゃなくて、思いつくままに弾いていたいのかもしれない。
力をこめるのが彼女の弾き方なんだろうけど、筋肉の強張りと音色がシンクロしてきちゃって、ちょっと心配。

2ndセットになって、春の気配。
冬が終わり、雪解けとなったら、その流れの清冽さ、果樹の花の甘やかさ、やがて実を結ぶ果実の豊かさ。それが想像できるやわらかさと華やかなフレーズ感があり、いい感じ。
演奏したのは、オリジナルとスタンダードをほぼ交互に。
オリジナルは「誰々に影響を受けて」と本人も言うように、聞き覚えのあるフレーズが際立ってしまうのが残念かなぁ。「誰」って言っちゃうから探しちゃうのかなぁ。
スタンダードのほうが、片倉真由子風味のおもしろさが感じられるように思う。
メロディーが平易で美しい曲に、彼女の芯の強さが絡むのは、ショパンとバッハが連弾してるみたい。
私は、「Aura Lee」(エルヴィス・プレスリーの「Love me tender」としてお馴染みの)が殊のほか気に入った!

2010.Jan.25 六本木alfie 片倉真由子ソロ

(2010/2/1 WADA)


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