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2010年11月のコラム



「ネットの力」

 湾岸付近で仕事をしている。海を見ていると心地よい。ネオ屋台村と称して、一週間、毎日違うバンの屋台が人を集めている。中国、韓国、インド、フランス、タイ、ハワイなど。僕たちは料理については国際的だが、本質的には排他的かもしれない。この海は世界各国につながっているのだが。

 尖閣諸島の非合法公開は快挙。これほど賞賛された犯罪も珍しく、鼠小僧のようだ。公開した海上保安官には拍手を送りたい。それでも逮捕して法的に裁くべきだ。議員に公開したから秘密じゃないとか、国民の知る権利云々といった議論は無意味だ。守秘すべきものを公開し、法を犯している。もし処罰しなければ、法律が機能しない。正しいと信じ、国民の共感を得られる行為なら、法を犯しても許されることになる。当局は国民の非難を受けても、厳密に処罰し、そのうえできちんとした対外政策をとるべきだ。
 youtubeを尖閣で検索すると、もう一つ巡視艇の映像があった。AKB48の「会いたくって」が流れ巡視艇が進んでくる。すると甲板で女子の格好をした4名のおそらく保安官たちが楽しげに踊っている。見て大笑いした。何か広報イベントでの余興だろう。

 湾岸に向うため、東京駅で京葉・武蔵野線からの長い動く歩道を利用している。ところが3本のうちの1本が工事中でひどく混み合う。なんと9月から12月末まで工事だという。デパートのエスカレータでは1日で直すだろう。それが4カ月、1年の3分の1使えないとは、いかにもお役所仕事。それも3台に分かれているため、1台ずつ止めればいい。1日に数万人以上が利用しており、膨大な利用客に不便を与えることを、JRは考えないのか。
 今回の尖閣騒ぎでネットの力の大きさを改めて思い知った。ついては、同様の意見がJR東日本にたくさん届き、動く歩道の異常に長い工事が早まらないだろうか。こういういい加減な事業のやり方こそ、仕分けすべきだと思うのだが。


(2010/11/29 志賀信夫)



「ラーメン、我が愛」

 桂花ラーメンが潰れた。会社更生法適用。大ショック。というのは、人生最後の一杯は「桂花」と決めていたからだ。当然、太肉麺(ターローメン)。豚の角煮がゴロゴロ、味卵、キャベツが生に近い感触でザクザク入っている。山くらげ、太メンマ、マー油がアクセント。太い固い麺と濃い豚骨スープとともに独自の味を持っている。ああ、書いていたら食べたくなった。東京に豚骨ラーメンを流行らせ、豚骨を全国区にした原点は桂花であることは間違いない。
 最初に食べたのは32年前、亡き丸山圭三郎らによるフランス語の合宿からの帰り、九州出身の塩塚君が連れていってくれて、はまった。子ども時代は阿佐ヶ谷の老舗蓬莱軒から出前をとり、最初のラーメンブームでは荻窪で食べ、ルーツは中華そばだ。次に高校時代、札幌ラーメンのブームの洗礼を受け、大学で桂花に運命的な出会いをする。
 その後、久留米や博多でも食べ、さまざまな豚骨ラーメンを食べた。豚骨醤油、豚骨魚介、鶏白湯、海老、鯛、牛骨なども腹に収めた。いま一番美味しいといったら代々木の目白をあげ、無化調、化学調味料なしを求めるが、それでも最後は桂花なのだ。
 それだけラーメンが好きなのだが、わざわざ食べには行かない。何かのついでに、近くにある美味しい店を探すだけだ。それでも、舞台を見に行って、帰りに旨いラーメンを食べると、先にブログに書いてしまい、関係者の顰蹙を買う。「命をかけてる舞台よりラーメンを優先か」と。ラーメンに命をかけている人もいると思うのだが。そう書くとさらに顰蹙だろう。
 長々とラーメンへの想いを書いてきた。まとまりもないが、桂花が潰れることに動転するあまりだとご容赦いただきたい。そして、何より桂花復活、営業の継続を祈って、眠ることにする。しかし、書いていると益々食べたくなった。明日は早稲田から日暮里への予定だが、新宿に回り道して太肉麺を食べるかなあ。応援の意味も込めて。

(2010/11/1 志賀信夫)


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