Arts Calendar/column

アーツカレンダー<コラム>のページ


2009年2月のコラム


「気になる」

 「が」の鼻母音にこだわったのは、中学時代の国語教師だった。発音も言葉も時代とともに変わり、新語、略語、造語は言葉を活性化すると思う。しかし、「なります」言葉は気になる。ファミレスで料理を持ってくると、「ハンバーグになります」。なんじゃそりゃ。かつ日本語らしく主語がないので、「ハンバーグになりたければ。変身してみい」と突っ込みたくなる。電車のアナウンスも「三鷹行きになります」。中野行きが変わるのかと思うと、そうじゃない。どうやら丁寧語の一つとして使われている。ファミレス、ファストフード店やコンビニのマニュアルが発端か。

 たぶんこの違和感は、一律、機械的に言わされているからだ。挨拶が儀礼なのは確かだが、コミュニケーションの暗黙の了解のもと、関係を潤滑にする。その意味では、「ハンバーグをお持ちしました」でも「です」でも「なります」でも支障はない。しかし違和感を抱く人間が多いならマイナスだ。

 こういうこだわりは、もちろん歳をとったゆえでもある。次々と新しい言葉が生まれては消え、言葉はどんどん動くのに、ついていけない。それがシニア?が若者言葉にこだわる一つの原因だ。英語でもbecomeはbeと同義の場合もあるので、かまわないのかもしれない。しかしひっかかる。

 中高年をシニアというのにひっかかる。それは「ごまかし」だからだ。前にも書いたが、精神病院の英語表現はマッドハウスから延々と変わってきたという。精神分裂症を統合失調症といったりするのと同様、差別語撤廃という欺瞞と同じ根を持つ。学問の進化によって、病名も細かく分類されるのに乗じて、差別をごまかす風潮がある。
「なります」に感じる気持ちの悪さは、同じように、無駄な丁寧語で何かがごまかされたと思うからだ。ではどうしたらいいのか。流れ溢れる言葉に抵抗しても無駄しかもれない。ともあれ、今度はファミレスでこう答えるしかない。「成増は東武線」

(2009/2/23 志賀信夫)


●時限爆弾

 以前に話題になったアスベスト。数十年後に肺癌などを発症することで、欧米や日本 では全面禁止になり、使用した建築物の解体も問題になっている。だが、子どもの頃は 工事現場に落ちていて、ほぐして遊んだ記憶もある。実は七十年代から欧米では問題に なっていたが、日本は黙認したため、対応が遅れて被害が拡大したのが事実だ。

 ところがいまそれが韓国、そして東南アジアで同じことが起こっているという。日本 で禁止されると、そのアスベスト会社は韓国に合弁企業を作って、日本から機械を輸出 して韓国で作り出した。危険性を知りながら、防護マスクも付けずに作業させたため、 その工場の従業員が同じ病気で多数死亡し、訴訟を起こしている。さらに韓国で禁止さ れると、当の合弁企業がインドネシアで合弁企業を作り、現在もアスベストを作り続け ている。現地では一切、癌や被害も知らされずに作業し、現地政府もアスベストの需要 があるから必要だとして容認している。これには驚いた。

 米国などが、国内で禁止された薬品を海外向けの農作物などに使用することは以前か ら指摘されている。先進国はそうやって他国を騙して犠牲にしてきた。しかし現在も日 本企業が韓国、そしてインドネシアにアスベスト被害を拡大し続けている。恐ろしいこ とではないか。

 米国は、イラクや紛争地域で劣化ウラン弾を使用し続けて、小児癌の原因といわれて いる。カンボジアや世界中で地雷の被害はいまも続いている。このアスベスト生産の伝 播は近い将来、非難の嵐を受けるだろう。そして何よりも現地の人々の身体に、見えな い時限爆弾といわれるアスベストを侵入させる恐ろしさ。これは、知りながら人の体に 地雷を敷設しているようなものではないだろうか。薬害問題もそうだが、利益を追求す る企業には「被害は人ごと」なのだろうか。そして、知らずに僕たちもその片棒を担い でいる。そんなことがありそうで、気になるのだ。

(2009/2/9 志賀信夫)


和紙に手書きのお手紙をいただきました。
携帯メールでも、それぞれの個性が現れるものですが、やはり手書きは格別。
さほど親しくお話をしたことのないかたからだったので、その人柄を思いを巡らしました。

そして、いただいた便せんが私も使っている(持っている)ものだったことも嬉しかったのです。
そのかたは、東京住まいではないので、その便せんも東京にきた時に求められたか、メールオーダーで手に入れたものでしょう。
便せんを扱っている専門店ではないその店に足を運ばれたか、ホームページを見ているのだなぁと思うと、何やら繋がりが太くなるようにも思うのです。

普段なら、「届きました」とメールで連絡するところだけど、頑張って私も手紙を書きました。
ほんとに字が下手で、私がアイダミツヲならば、「味」と言い張れるのに、というほどの字。
おそろいの便せんでは芸がないので、書くあてもないのについ買ってしまう便せんの中から雪だるまをあしらったものを選びました。
大寒の今の時季しか使えないものですが、持っててよかったなぁと。

さて、老舗の便せんに、宝の持ち腐れだった某有名メーカーの万年筆、弘法じゃないから筆を選びまくりという状態。
インクがなくなるほどの練習を重ねて、いざ書いてみると、いつになく、それとなく、いい感じに書けました。
お手本のような、というよりは果てしなく「いい味」ではありますが。
調子に乗って、いろんな人に手紙を書いてみたくなっています。

(2009/2/2 WADA)


無断転載禁止 掲載:アーク編集室

TOPpage/Weekly/Performance/Music/Dance&Ballet/Movie/Art/Link