Arts Calendar/column

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2005年2月

【コラム】

占い

テレビでは、血液型占いや血液型診断の番組が多くて、しかもそれぞれに批判という反響が多いと言う。だったら見なきゃいいのに。作らなきゃいいのに。と思う私はAB型で、まず間違いなく「個性的」だの「独創性が豊か」だのと、その裏に「変人」の匂いを漂わせているような型に入れられている。
お天気の話題だけで繋ぐほど事務的でもなく、ちょっとはフレンドリーな雰囲気も感じさせないといけないかしら?という対人関係の中(会社の同僚レベル)で便利な話題だと思うけど、「私A型」というアナタの机の上の散らかりようは何?とか「私のペン誰か使った!」と叫ぶアナタはおおらかなO型と言ってましたっけ?という具合。そして重箱の隅をつつくようにこんなことを言ってる私は「AB型っぽいのよね〜」と言われてしまうけど、それは「AB型」と知ってる人達だけだなあ。
だいたい人の性格(の傾向)が4種類だというのがおかしい。それで「A型っぽいB型」とか「B型の要素が強いA型」なんて言い出すと「4つの血液型の性格」ってのが破たんしちゃうでしょう。
ならば十二宮の星座ならば信じるかと言われると、これも嫌い。特に雑誌やテレビで今月の・今日の運勢なんていうのは絶対に見ない。やっぱりラッキー・アンラッキーと言われると気になってしまうというのもある。「友人と衝突」で、ケンカまでいかなくてもムッとすることがあれば「ああ占い当たったな」と実際以上に大きな「衝突」と受け止めてしまいそうだし、「デパートに行くとラッキー」なのにデパートに行かなかったら、何事も起きなかった平穏な日をアンラッキーな日と思ってしまう。そういう他が言うことをネガティブに思ったり、自分の不注意や努力に占いが絡むのが嫌なんだな。もっとも私と同じ星座の人(地球上の全人口の12分の1)=誕生日が同じ・近い人がみーんな同じ運勢っていうのが気持ち悪いんだけど。

                          05/02/07 WADA

【コラム】

ラーメンとジャズ

 ジャズがかかるラーメン屋が増えた。魚系だしの新しい店が多い。700円、800円からで黒い内装がおしゃれ。それには演歌、ロックよりジャズが似合うのだろうが、いくつか理由があるように思う。
 ラーメンブームは何度かあったが、ここまで普及したのにはインスタントラーメンの存在が欠かせない。「男子厨房に入らず」を破ったきっかけが、自分で作るインスタントラーメンだ。数種類混ぜ、野菜を炒めたり煮込んだりと工夫した。家庭科も一因だが、男が料理する楽しみを覚えたのは、団塊以降のインスタント世代だろう。それが脱サラ・ラーメン屋第一世代となっている。この世代はジャズ喫茶ブームだった。団塊の世代以降の男の料理に似合うのはジャズなのだ。
 僕の仕事場は政党本部と予備校で有名な町。洋食ランチ600円の店やラーメン250円の店が2軒ある。そのラーメン3杯の値段の店が結構繁盛している。予約のとれないフランス料理屋が移転してきたりと、この町の外食地図も変わってきている。
 ラーメンブームは東京を中心にすれば4期あると思う。荻窪ラーメンが有名になった昭和40年代はインスタントラーメン普及と重なる。札幌ラーメンの50年代、とんこつラーメンの60年代、そして平成10年以降の醤油とんこつ・魚系だしの時代だ。これは平成初めのラーメン選手権などテレビが生んだブームでもある。ラーメンプロデューサーが登場、地方のラーメン店が続々と東京に進出し、博物館が誕生するなど、ラーメングルメの時代だ。
 有機食材、いい素材をふんだんに使ったラーメンは、確かにおいしい。だがある店はラーメンセットが1250円。たっぷり使った魚系だしの風味が長く舌に残り、化学調味料を使っていないのもよくわかる。巷には鴨や鯛、鮎だしのラーメンも出没しているらしい。だがラーメンは本来捨てられる鶏ガラ、豚の頭や骨などで作られた。ジャズも黒人奴隷の綿摘み歌、ブルースから生まれパーカー、コルトレーンなどが作り上げてきたという。口あたりよく聴こえる音にも、根には深いものがある。そんなマイルスの流れる店の後味には、ちょっと違和感を覚えた。

                          05/02/14 志賀 信夫

【コラム】

Save The 下北沢

 出口の方向だけを確認して、とりあえず駅を出る。目印のお店や曲がり角をチェックしつつ、ずんずん歩いていく。
「おっ」と思うお店は、帰りに見ようなどと考えずに、今、覗いておかなければならない。ここは下北沢だから。

 お芝居を見に行ったのが、たぶん最初の下北沢。駅からすぐの劇場への往復なのに、途中に寄り道したわけでもないのに、なぜか行きと帰りで違う道を通ったのが印象的だった。一人で帰ることになっても道を間違えないようにと頑張って覚えた道順が水の泡。しかも改札から乗りたい電車のホームまでがラビリンス。途中、違う線に乗る友人と手を振り合いながら。それ以来、なんだか面白い町になってしまった。「連れてきてもらった時この道おそわって」「道を変えると間違えそうで」などなどということで、私たちのシモキタ観劇ツアーは往復で違う道、が伝統になった。

 お芝居を見に行く前に腹ごしらえをしようねと、雑誌なんかでおいしそうなお店をチェックする。地図を頭に叩き込んでも、立体的な下北沢の町に私の平面的な頭はかなうはずもなく、たぶんこっちのほう。というだけの怪しい道案内。たいてい、目的のお店の前にあっちに寄りこっちに寄りして、いつのまにか地図からはずれた道を歩いているし、もっとおいしそうな魅力的なお店を見つけて、そこで食事することになる。このあいだ探して見つからなかったお店が突然!目の前に現れたりする。そんなふうにふらふら行き当たりばったりに歩いても、下北沢は歩く人がとても強い町で、歩きやすい。車が曲がれないくらいの網の目の道。

 丸の内や銀座、京都と地元の町、どれも碁盤の目に道が広がる。そんなところばかりにいるからか、自信を持って「方向音痴じゃない」と豪語してきたのが打ち砕かれる。謙虚な気持ちで歩く町でもある。
朝から晩まで過ごしたことはない。数時間ちょっと散歩したことが何十回か。そのどれもが、面白いものを観た・買った・食べた・聴いた。と、いつまでも記憶に残っていて、とても大事な旅のように思える。
森茉莉のエッセイを読み返して、「これいつくらいに書かれたものなんだろう?」と思う。文庫本のその町の、今とまったく変わらないような風景に「知らないうちに森茉莉とすれ違ってたかも」と。

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その「下北沢」の駅周辺に大規模道路建設の計画が持ち上がっています。住む人にとって、遊びに行く人にとって、メリットがあるとも思えないような計画だと思います。
私の大好きな「ザ・スズナリ」も、その計画骨子によれば削られる場所にあります。というより、削られた建物の姿が残るはずもなく、取り壊しになるのでしょう。
http://www.stsk.net/

                          05/02/21 WADA

【コラム】

シモキタにミニキタ

 下北沢に来るとだいたい芝居を見る。先週の日曜は2時に友人とマチネ。70年代の脚本を若手が演出している。終って飲もうとするが、まだ3時半。うろうろし古いお好み焼き屋を見つけた。カウンターがメインで、イカ、モチ、卵、ソバ、ウドンのお好み焼きに、ビール1種というストイックさ。キャベツのさばきと渋い品書きに目黒の「とんき」を思い期待すると、手際もよく甘めのソースが美味しく、普段飲まないドライビールが進む。
 さっと飲んで食べて、手づくりスコーンの看板でカフェに入る。だが残念、ワインがないのでブランデー。酔いが増す。コクトーの版画のある静かな穴場で、ミルフィーユも頼み、カントリーについて議論する。
 腹一杯で出て、人気演出家の舞台の様子を見に行くと、当日券で入れるという。即日完売の芝居だけに予定の別の舞台はパスして、少々高いが酔いの勢いで見る。なかなか楽しく、となると話さねばと、炭火の煙るホルモン屋に入る。また何か議論していたが、内容は忘れた。次にと北口闇市の飲み屋も頭を掠めたが、週の始めからこれじゃと思い直し、サクっと別れた。
 戦後が残る一角、サブカルショップの70年代の匂いに、おしゃれなカフェが混ざる。線路が重なり道が曲がる迷路性からか、道幅が狭く大きいビルが建たないためか、独特の空間を保っている。夜を明かしても、新宿のような徒労感には襲われない。
 高円寺、阿佐ヶ谷など中央線沿線ともちょっと違い、駅周辺の混沌とした賑わいもいい。本多劇場ができる前の空地では、唐十郎がテント芝居をし、劇場のこけら落としは彼の傑作『秘密の花園』だった。広くない一帯におよそ10軒の劇場がある。舞台を見て人と飲んで語る、それがこの町の魅力の一つだろう。芝居と飲み屋のハシゴの繰り返しはどうかと思うが。そういいながらまた今週も、シモキタにキテシモタ。

                          05/02/28 志賀信夫


無断転載禁止 掲載:アーク編集室

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