Arts Calendar/column

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2004年3月

【コラム】

梅暖かい日が続いて、いつもはバスでの帰り道を歩いてみました。すると刺激されるのは、鼻。住宅地を歩くと沈丁花や梅の香りがかなり濃く漂っています。その香りだけで気温がさらに2,3度暖かく感じられます。夕暮れから夜にシフトした時分、なりたての夜の藍色に花の白い色が映えます。ふんわりと浮かんでいるようで、輪郭のはっきりした白梅のまるい花びらは、花一輪だけみると可愛い形なのに、香りがともなうと神秘的な、妖しいというにふさわしい雰囲気が強くなります。
今年は暖冬で、しかもおかしなくらいに気温の高い日が続いたから、梅の咲くのも早かったんだなあと思っていたのですが、そういえば、毎年このくらいの時季にはちゃんと咲いていたのでした。梅の大木があった我が家にとって、雛祭りは桃の節句ではなくて梅の満開を知らせる時でした。雛飾りの上には花屋で買う桃ではなくて、庭から切ってきた白い梅の枝を飾りました。ひと月前の節分には窓を開けるのは勇気のいる寒さだったのに、しばらく窓を開け放ち、甘い梅の香りを吸い込みながら、雪のような星のような白い枝の向こう側に名残りの金星を透かし見たりするのが、好きだったなあと思い出しました。

                               04.03.01 WADA

【コラム】

地理の問題

小学校で使った「白地図」。都道府県を自信を持って書き込める人って、どの位いるでしょう。最近、自分が世界地図はおろか、日本の地理もすごくあやふやになっていることに驚いています。
まず世界地図。オーストラリアとニュージーランドは大丈夫。アフリカ大陸がどれかはわかるけど、中東地域は毎日さんざんニュースで見てるのに危ないなぁ。ヨーロッパもフランスあたりから東に向かって埋めていけば、そこそこできそうだけど、逆に東からだと、どこがヨーロッパとアジアの境目かわからない。南米はおてあげ。見開きでB4サイズくらいの世界地図で、この国はどこら辺か、ざっと指さすならごまかせる、が精いっぱいです。オリンピックの開会式なんて見てると、聞いたこともないような国名もたくさん出てくるし、参加する国と地域の数なんて信じられないくらいの数字だし。
日々、切実なのは、日本です。これもやっぱり北海道はおっけー。四国とか九州も大きな島としてはわかるけど、その中に県名を入れるのは、うーん。中国地方も一番九州に近いのが山口で、で、その隣は?となってしまいます。自分が住んでる東京都と隣接してる県は入れられるけど、ちょっと離れると途端に自信がなくなってきます。群馬県と栃木県は怪しい。
そして、地方の分け方も正解があるのかないのか。会社でも、ファイルを分ける時に地方別にしたりするんですが「中部・東海」って、どこまでっ?と悩んで周りの人に訊ねても、皆けっこう好き勝手に考えていて、しばらくその話で盛り上がったりします。岐阜県・和歌山県・三重県・滋賀県あたりが、あちこちに重複したり、どこにも入らなかったり、ということがよく発生してます。

                               04.03.08 WADA

【コラム】

映画館

ここのところ、ぜんぜん映画館に行っていません。去年の夏くらいから楽しみにしていた映画がこの冬にようやく封切りとなったのに、それも見てないし、雑誌などでレヴューを読んで「よさそう」と思った映画のいくつかにも行ってません。
すごく見たくて、楽しみにしているからこそ、映画を見る前後の時間もたっぷり取って、しばらくは余韻に浸りたいと思っています。そうすると休日に行くのは、あんまり気分が乗らない。自分は暇でも、街は混雑してザワザワして、ゆっくりお茶を飲みたいと思ったところも混雑して、長居ができなかったり。かと言って、平日に休暇を取って行くには、映画1本ではちょっともったいないと思ってしまいます。それでも抱き合わせにするのにちょうどいい用事もあって、明日こそは!という時、見たかった映画はいつのまにか終わっていたりします。あんなに絶賛していたのに?話題のロードショーはともかく単館、ミニシアターなどでは大きなメディアに取り上げられないと、ロングランは難しいのでしょう。だからこそ、早く見にいって「よかったよ〜!」と友人たちに触れ回らないと、なんですけど。
映画館っていったん入ってしまうと癖になります。暗くなっていくところとか、予告編が終わると何故かスクリーンが小さくなってしまうとか。いよいよっていう雰囲気がやっぱり大切。本編前の予告編とロビーに置いてあるチラシや告知にも惹かれます。予告編で見るとどれも魅力的な映画に思えて、手帳には封切り予定を書き込んで。そして、数カ月後、その映画を見に行ってみると。予告編と本編と監督が違う?と思うほどにがっかりすることが、することのほうが多いかもしれません。編集者の腕ってことなんでしょうか。そうすると、また映画館が遠くなって、ビデオが出てからでいいやとか、TVで見れば十分かも、なんて思ってしまうのです。

                               04.03.15 WADA

【コラム】

上野の春

上野に行ってきました。暖かい日だったけど、桜はまだでしょうと思っていたのに、早咲きの桜が満開、桃も咲いて、梅もまだ花が残っている、という三春の状態。しかも、国立博物館の裏庭が一般公開されている時。いつもは展示室を繋ぐモザイク模様の廊下から恨めしく眺めているだけの庭に、初めて入れました。
庭園というほどには、整備されてなくて、雑草も生えてるし、剪定もきっちりとはされていない様子。それが逆に何ともいい雰囲気。ハハコ草、花大根、オオイヌノフグリ。懐かしい名前がすらすらと浮かんでくる小さな花が満開です。いやぁ久しぶり!ちょっと前まで、うちの庭や近所の空き地には、こういう草花ばかりだったのに、春に咲く彼等をすっかり忘れていました。目に入ってなかったのかも、と思うとちょっと悲しい気分にもなります。ハルジョオンとかヒメジョオンはここにはないのかなぁ。あ、タンポポもいないねぇ。シロツメクサやヘビイチゴはもう少し後だっけ?初夏、という頃に咲くんだったっけ?と気温にリンクして昔なじみの花を次々に思い出します。満開のソメイヨシノを見るよりも、この小さな花に久々に気付いたことに感動。頭上にはカラスが賑やかに鳴き交わしています。鳥インフルエンザで槍玉に上げられそうで、今年に限ってはカラスも愛しい。
カラスの声に、見上げると白木蓮も満開。柳にも、ぽつぽつとグリンピースのような新芽が出ています。

                               04.03.22 WADA

【コラム】

デジカメ

この頃、見なくなりましたけど、少し前の日経工業新聞(だったと思います)のTV・CMで、「何か新製品のアイデアはないのか?!」と言う上司に、仕事ができなさそうな若手社員が「デジカメに携帯機能つけるってのは〜」というのがありました。情けなさに呆れ返る上司の表情から、CMの趣旨は、そんなアイデアしか浮かばない奴にこの新聞を読ませて、鍛え直せ!というものなのだろうと思います。でも、「携帯機能がついたデジカメ」って欲しくないですか?
デジカメつき携帯電話が爆発的に普及したのは、撮った写真をその場で誰かに送って一緒に楽しめるから、が大きいと思います。そして、デジカメのちょっと不便なところというのは、パソコンに取り込むという作業。誰かにプリントして渡すよりも、ファイルで送れたほうが、なにかと楽だし使えるし。画質のいい写真を撮っても、パソコンを立ち上げて、ケーブル繋いだり、たまにしか使わないソフトで「あれ?あれ?」なんて言いながら取り込んで、と思うと撮りためた写真もメモリーから削除したりしてしまいます。「この前の旅行の写真どうなった?」「ごめん、パソコンに取り込むの面倒で」なんてやりとりを経験してる人は多いでしょう。デジカメでそのまま「送信!」ってできると楽・便利、もっと普及するだろうな〜と思います。自分のパソコンや友人のパソコンに「送る」という機能だけでいいんです。
アナログ・カメラに比べれば、デジカメで撮り、写真を手にするまでの時間はずっと短縮できてると思います。でも、写真屋さんに現像を頼んで出来上がりを待つ日々というのは、E-Mailに対する手紙という感じでしょうか。どちらに軍配が上がるかというものではなくて、それぞれの楽しみ方、便利さで使い方を選べばいいと思います。それならば、デジカメはアナログ・カメラに近付くよりも、もっとデジタル、っていうのか通信に特化した方向に進むのもありだと思うんだけど。

                               04.03.29 WADA


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