Arts Calendar/column

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2003年3月

リフレイン

おととし、しばらく書いていたコラムが復活します。復活を望む声をお寄せ下さったかた、ありがとうございます。いざ書こうとすると、どんなことを書けば?となかなか筆が進まなかったりします。実際には、キーボードを叩く指が滞る、です。まだまだ「慣用句」を使うほうがしっくりくるものがたくさんあります。テレビのチャンネルを回す、とか電話番号をダイヤルするとか。昔はあたりまえだった黒い電話に向かって、「どうやって電話かけるの?」と若い子は呆然としてたりするそうです。
この春の四大卒新入社員は、1980年生まれです。話が合わないなんて言ってる場合じゃないです、もう。初めて行った遊園地(テーマパークだってば)は東京ディズニーランドだし、物心ついた時にはスペースシャトルは宇宙に行ってたし、電々公社って知ってる?です。パソコンにマウスがついてなかったって信じてもらえるかしら?
私がこんなふうに思っているのと同じように、80年生まれの「子」たちにもいずれ同じことが巡ってくるはずです。まずは平成生まれ、次に21世紀生まれ。
そのときには、私のダメージもさらに増すかと思うのですが。

                               03.03.03 WADA

保存?

保存か、解体して再開発か、ここのところそんな揉め事が多い。豊郷小の話題が全国規模で報道されている最中にあっけなく進んだ旧正田邸の解体。近隣の人たちは、もちろん保存運動を起こしたけれど、ほとんど無視されるがごとく、だった。史料的価値無しと判断された上に、当事者が保存を望まなかったということだ。
保存運動を起こした人たちも、本当に残したかったのは建物だけではなかったような気がする。保存がかなったとしても、誰も生活しない資料館になったとしたら、やはり寂しく空虚な思いにすり変わる結果に終わったと思う。たぶん、残したかったのは、正田邸にふさわしい生活様式なのだと思う。
テレビ放送開始50年ということで、古い映像が繰り返し流れた。皇太子ご成婚というテレビ普及のきっかけともなった昭和のムーブメントも伝えられた。上品な物腰の美智子様が生まれ育った正田邸の、建物ではなくて、あの時代や優雅なふるまいへの憧れを身近に感じていたかったのではないだろうか。

                               03.03.10 WADA

寒暖

3月も半ばというのにまだダウンジャケットから離れられません。天気予報で昼間の最高気温が10℃を超えると言われても、会社への往復は5℃とか3℃という時間帯です。当たり障りのない話題として、やはり天気の話は便利ですが、いろんな出身地の人が口を揃えて「東京って寒いですよね〜」もしくは「暑い」と。暑さは、もちろんエアコン使いすぎの熱風によるヒートアイランド現象。
オフィス街では上から日光、横は鏡面のビルから四方八方に反射する熱、アスファルトの照り返しが下から。こんがりグリル状態。鹿児島の人に「暑い!」と言われてしまうと返す言葉もありません。確かに最高気温の数字は、関東地方あたりから九州までほとんど同じだから、まぁそんなものかなぁとも思います。
寒さならば、やはり北海道や東北の想像もつかないマイナス何度という厳しさにはかなわないはずです。ところが、札幌の人に「北海道じゃ手袋めったに使わなかったのに」などと言われると「さすがにそれは・・・」。その人によると、確かに北海道は寒いけど風の強さ・冷たさは東京のほうが勝ってるとのことです。それに北海道は施設の寒さ対策がしっかりしてるから、風がびゅーびゅー吹いてる中で電車を待ったりなんてことはない、と。東京って、寒さにも暑さにも対処されてないなぁ。雨にも風にも雪にも弱いよなぁ。私が納めた税金、どこに使われてるんだろう?
                               03.03.17 WADA

ジャイアン

一子相伝っていうのは、伝統や文化をきめ細かく、厳格に伝えるいいシステムだと思うけど、独裁的、攻撃的な悪癖を伝えるものではない。親と子二代に渡る悪魔との確執を気取ってるんだろうか。歌舞伎の題材に取り上げられそうな戦国時代の話じゃあるまいし。振り回される何万という兵士とそれよりも多いだろう武器を持たない人々。何をどう言ったって人殺しだ。地球は丸いんだからね、二人の馬鹿者が駒を動かせば、世界中が迷惑するんだよ。迷惑って言ってられる程度の喧嘩にとどめとけよ。
大声をがなりたてて子分を引き連れて、近所中迷惑を振りまくジャイアンってやつがいたっけ。そのワガママ傍若無人っぷりを見てるとテレビアニメの中のこととは言え、「あのへんの大人達は何やってんだよ、少しは躾しろよ」と思ったりする。ジャイアンには、スネオっていう自分の意見を持たない「虎の威を・・・」の典型の腰ぎんちゃくもいた。でも、本当に理不尽なわがままには、アニメの中のスネオはジャイアンに殴られたって、抵抗してたよね。
                               03.03.24 WADA

不断桜

もうすぐ桜のたよりもあちこちから届くころでしょうか。我が家の庭には不断桜(通称らしいです)という桜が咲いています。この桜はその名のとおり、途切れることなく四季を通じて花を咲かせますが、染井吉野や枝垂れ桜、八重桜、山桜と華やかな桜が咲き続く時季だけ、唯一、咲くのを休むのです。秋から早春の、桜には冷たく寂しい季節の花びらは春のそれとは違って薄く薄く紙細工のように儚気で、何もこんな時に咲かなくてもと思ってしまいます。この桜に咲き誇るという言葉は似合わなくて、同じ桜であっても春に咲く桜の影のようです。庭の不断桜が散ってしまうと花見のお誘いがくる頃。一度くらい、この不断桜の下でお花見初めをしてみたいと思います。だけど、まだまだ冷え込みの厳しい寒さ中では、とうてい賑やかな気分にもなれず。もしかしたら、お花見の喧噪に立ち向かって咲く華やかな桜よりも静かに眺められる不断桜のほうが幸せなのかも知れないと思います。
                               03.03.31 WADA


無断転載禁止 掲載:アーク編集室

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