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ヤマさんの公表雑文帖

20〜40代 揺れる仕事観
『マイレージ、マイライフ』(Up In The Air) 監督 ジェイソン・ライトマン
高知新聞「第163回市民映画会 見どころ解説」('11. 2. 5.)掲載[発行:高知新聞社]

   若い頃であれ何であれ、一人で生きていく決意を固め、実践したことのある人には、切なく染み入ってくるものがある作品だ。
 年間の322日が全米を飛びまわる出張生活で、企業の役員に代わって解雇通告を行なうというハードな業務にスペシャリストとして携わるライアン(ジョージ・クルーニー)。彼はいわば、非日常を日常として生きる人生を歩んできた男だ。「バックパックに入らない人生の荷物はいっさい背負わない」とドライな合理性を信条にしつつ、遠く離れた家族に対して心優しい面もある彼が、出張を通じて違う年代の女性たちと出会い、人生について再考し始める。
 クルーニーは米アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされたのも納得の好演だが、それ以上に目を引くのが、同賞の助演女優賞にノミネートされたヴェラ・ファーミガだ。
 彼女の演じたアレックスは、1千万マイル達成が目標だと語るライアンには及ばずとも、年間6万マイルの飛行機出張をこなして、各種のVIPカードを蓄えつつ、クールでスマートに活動しているビジネス・ウーマンだ。旅先で出会ったライアンに「ステイタスが好きな私たちはお互いチープよ」と言い放ちながら、新卒キャリアガールのナタリーに“15年後の私の目標とする姿”と言わしめるだけのものを体現している。
 アメリカン・ビジネスに生きる40代後半男性、34歳女性、20代前半女性のそれぞれの仕事観・家族観の違いが浮かび上がるところに妙味がある。とりわけ、似たもの同士に見えながらも実は“非日常が日常”のライアンと“日常を生き抜くための非日常”を必要としていたアレックスの対照が心に残る。

'11. 2. 5. 高知新聞「第163回市民映画会 見どころ解説」


無断転載禁止 掲載:アーク編集室

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