Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》'16. 9. 9.


vol.270

'16. 9. 9.

『清水宏のジャパニーズターミネーター!』
会場:喫茶メフィストフェレス・2Fホール

 スタンダップコメディは、欧米の映画などでときどき見かけるが、立ってだと漫才コンビ、一人なら座って落語というのが日本ではオーソドックスな話芸だから、いわゆるスタンダップコメディのライブは、初めての観賞となる。清水宏の名は故人の映画監督なら知っていたが、同名のコメディアンがいることは知らなかった。

 終始笑いながら過ごしたけれども、可笑しかったというよりは実に楽しい時間だった。副題に示された「〜イギリス・コメディフェス 殴り込みレポート!」にあるように、清水宏がほぼ徒手空拳で四年前に挑戦したエジンバラのコメディフェスでの奮闘体験を面白おかしく語っていたわけだが、御年五十歳、四年前なら四十路半ばでの、何だか行き当たりばったりにも思える“殴り込みレポート”を聴きながら、感心を越えた感動的にも思えるヴァイタリティというか生命力に打たれた。

 彼の掟破りの破天荒なパフォーマンスに目を留め、インタビューを申し込んできたらしいタイムズ紙の記者マークに与えたものもそういうものだったようだ。漫談のなかで場末と語られていた会場バーの「ホワイトホース」やマークの書いた記事、懸命に配ったチラシの投げ棄てられていた巨大なダストボックス、名前を呼び掛けてロックする“呪いの集客作戦”、さらには道中のアップダウンさながらに清水の胸中をアップダウンさせつつも味わい深い邂逅となったニックの姿、ゲストステージの声のかかったストリップショーパブらしきものなど、スタンダップコメディのパフォーマンスの後でスクリーンに映し出されたスライドショーを観ながら、こういう生き方のできていることにある種の眩しさのようなものを感じた。

 スライドショーに、あとコメディフェスのプレスルームが映し出され、「オー、ノー! ノー、ノー、ノー」の女性記者も見せてもらえれば、言うことなしだったのになぁ(笑)。

 観客のなかで清水宏よりも年長者というのは僕だけだったように思ったが、聞くところによると彼と同じくらいの年頃の人は数人いたようだ。でも、それなら彼より八歳上の僕は、観客・演者・スタッフを含めたなかでの最年長者だったことになる。でも、ターミネーターばりに「アイル・ビー・バック!」とその後、三年続けてエジンバラでの一ケ月公演を続けたらしい彼のヴァイタリティに、若者こそ感化されてほしいと思うから、ネタにも使われていたエジンバラ郊外の老人施設でのパフォーマンスのようなことにならなくて良かった。



ヤマさんのライブ備忘録」の扉へ

無断転載禁止 掲載:アーク編集室