Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》'16.11.18.


vol.277

'16.11.18.

からくり劇場旗揚げ公演『旅の途中』

会場:蛸蔵

 今はもう会わなくなった或は会えなくなった“忘れ得ぬ人”に、旅の途中すなわち人生のなかで、その顛末を報告したいような気持になる出来事というのは、いったいどれくらいあるものなのだろう。

 終演後の舞台挨拶で、演出のはぐれ庵が「一年半ほど前に所属していた劇団が解散して、僕たちは途方にくれました。そして、?演劇をやめてしまう、?どこか他所の劇団に入る、?皆でそろって他所の劇団に入って乗っ取る、のうち、どれにしようかと考えました。結局、そのどれでもなく新しい劇団を作ることになりました。その旗揚げ公演です。」といった話をしているのを聴きながら、演劇センター'90で見覚えのある面々がこうして再結集した顛末を演劇センター'90の主宰者だった帆足寿夫さんに報告する思いで、この作品を旗揚げ公演に選んだのかもしれないなと思った。

 作・高橋いさをの『旅の途中』は、劇の進行自体、探偵の沢木(谷山圭一郎)が恩義ある亡き先輩の墓前で報告した話という形を取りつつ、やくざの中村(川島敬三)が組長に対して抱いている恩義と重ねて、縦の人間関係における人の想いというものをノスタルジックに掻き立てる作品だったような気がする。

 最後のその場面の効果を引き立てるうえでは、組長の愛人ヤスコ(別役和美)と駆け落ち男(岡村慎司)が詐欺師の山崎(刈谷隆介)のもとに転がり込んでからそこに至るまでの進行にもっと軽妙な運びが必要だったような気もしたが、暗転時間をエリック・サティの音楽でつなぐところからしても、敢えてそういう対照による強調効果は避けていたのかもしれない。

 それはともかく、7年前に演劇センター'90の公演で観た同じ高橋いさを作品の『逃亡者たちの家』に出演していた面々を一堂に観ることで、演劇というものが人生のなかで切っても切れない血肉化している人たちの姿を目の当たりにするような感慨を覚えた。


『逃亡者たちの家』⇒『狙撃者 大河原丈の一日』備忘録
http://arts-calendar.co.jp/YAMAsan/09/4-25.html



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