Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》'16.11.10.


vol.276

'16.11.10.

鈴木良雄&山本剛 live at MOKUBA

会場:ジャズ喫茶「木馬」 

 二月に三十余年ぶりにライブで聴いた山本剛[p]が鈴木良雄[b]とのデュオで演奏するというので出かけてみたら、大盛況で驚いた。ベースとピアノのデュオという渋い編成なのに却って客足が伸びていたのは、デュオによるジャズという珍しさがアピールしたのかもしれない。僕がジャズのデュオを聴くのは、十八年前の「ゲイリー・バートン&小曽根真 ジャズコンサートat桜座」以来のような気がする。

 鈴木のオリジナル「ゲームボーイ」で始まった当夜のセッションでは、何といっても細身の鈴木良雄の穏やかでユーモアを湛えたなかにシリアスな面持ちを垣間見せる貫禄が圧倒的だった。ベースが最前列に出て来ていて、僕の席から僅か1メートルばかりの間近の生音で聴くという、小空間ライブならではの非常に贅沢な時間を過ごすことができた。セカンドセットの最後では当地の吉川英治[ds]を呼び込んでトリオでの演奏(「オール・オブ・ミー」&「キャラバン」だったかな?)も披露していたが、これまでに何度も視聴したことのあるなか今までに観たことのないような真剣な吉川の真顔が印象深かったとともに、一緒に演奏できたことをすごく喜んでいる感じが伝わってきて、とても気持ち良かった。

 ファーストセットの2曲目も鈴木のオリジナル「キスは風にのって」で、ペダルの加減の巧みさによるものなのか、絶妙の響きで奏でるピアノがとても素敵だった。3曲目は、鈴木によれば「印旛沼の娘」というボサノバではなく4ビートのイパネマの娘で、なかなか洒落ていたように思う。続いて、鈴木のボウイングで始まった「モナリザ」そして、曲タイトルとは裏腹に山本のピアノの美しくロマンティックな響きが印象深かった「オブセッション」のあと、休憩となった。

 セカンドセットは山本のオリジナル「ジェントル・ブルース」で始まり、鈴木が弓を使って気怠い感じを醸し出していた「サマータイム」の後、客席の手拍子とお囃子を誘って愉快に盛り上げていた「サヴォイでストンプ」。そして、これを外すわけにはいかないと披露した「ミスティ」でデュオを締め括った。

 吉川を誘ってのトリオ演奏が謂わばアンコール演奏に相当するものだったような気がしなくもなかったが、大いに楽しんだ客席からの要請に応えてさらに1曲加えたのち「きりがないから」と切り上げたことへの不満が露とも窺えない笑いの湧いた場内が当夜の客席の満足度を物語っていたように思う。期せずして同席した高校の同窓生から、軽くやって行かないかと誘われ、居酒屋に赴くことになったりしたのも普段にはない珍しい展開で、愉しい宵を過ごすことができた。



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