Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》8.15.


vol.249

'15. 8.15.

シアターTACOGURA005公演『怪談 番町皿屋敷〜愛おし憎し お菊よ哀れ〜』

会場:藁工倉庫 蛸蔵

 シアターTACOGURAがNPO蛸蔵と共同で主催するイベント「わらこう夏祭り」で観て来た。地域といっても主に近隣に住む人々に親しんでもらおうと、子どもたちを誘い込めるメニューを盛りだくさんにした催しで、試みとしては非常に興味深く、有意義なものだったように思う。そのイベントのなかの1メニューとしてのお芝居だったので、そう大きな期待は抱いていなかったのだが、それにしても思いのほか出来栄えがよくて感心した。
 番町皿屋敷だから青山主膳(丸山良太)なのだが、主膳のイメージにある残忍さは殆どなく、生真面目な小心者がのぼせと動転によって起こした悲劇として描かれ、むしろ播州皿屋敷的な恋慕の不首尾が軸になっていたわけだが、お菊(井上里音)への恋慕であれ、腹癒せであれ、主膳の思惑違いへの対処のまずさが当人の思いを超えた事態を引き起こしていた。お菊に詫びを入れさせたかっただけのはずが、当主として始末をどうするのかと懐妊中の妻(西原史菜子)からも女中頭おみつ(吉岡裕太)からも責め立て詰め寄られ、さっさと詫びを入れなかった菊に対する八つ当たりとも言うべき成敗を加えるさまが、不祥事を起こした組織の長が責任を問われて器不足の馬脚を現す事態と重なり、現代に通じる理不尽を偲ばせていたように思う。
 そういう意味で、主膳のキャラがとても重要なのだが、丸山良太が的確に演じていたように思う。また、小さな芝居に見合った狭い空間の使い方がなかなか巧みで、役者の出と入の基本を客席を向くことと客席に背を向けることで捌いていた調子がよく、上下とも言えないような舞台の下手に置いた古井戸の設えがよく出来ているように感じた。本作の肝とも言うべき古井戸に関して、演出的には手の使い方が効果的で、ありがちな幽霊姿をたびたび晒すことのないメリハリが利いていたし、井上里音の泣きと狂笑の入り混じる恨み言になかなか力があったように思う。西原史菜子の演じた奥方の夫や女中を追い詰める気迫も出産場面の捌きやわずか四人で大宴会の席を表した場面の捌きともども、なかなかのものだったような気がした。

http://theater-tacogura.wix.com/kochi#!わらこう夏祭り-タコとアートと盆踊りinアートゾーン藁工倉庫/cos3/558caae00cf2f97c80ebd8bc


ヤマさんのライブ備忘録」の扉へ

無断転載禁止 掲載:アーク編集室