Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》 3.22.


vol.236

'15. 3.22.

劇団シアターホリック第21回本公演『希望の星』
会場:メフィストフェレス2Fホール

 女子高生たちを使うああいう業界にビジネスなどという呼称を与えて認知することに対する抵抗感が僕にはあるのだが、他方で、居場所もなく、親を含めて頼れる大人を持てずに、糊口の道が得られないでいる女性の行き場として存在している面も確かにあるわけで、そのことに、作・演出の松島寛和は、むしろ積極的に目を向けていたような気がする。

 なかなか弾けていて面白い芝居だったように思う。後半少々間延びした気がしなくもないが、舞台が若々しいエネルギーに溢れていて、お話自体はろくでもない話なのに、何だか気持ちがいいだけではなく、どこか心洗われる感じすら抱いて我ながら少々驚きつつ、狼狽えてしまった。とりわけ、まい21歳を演じた前田澄子、かえで17歳を演じた阿井瑞希、ちえり18歳を演じた中平花が、よく弾けていたような気がする。

 よく練習を重ねたことの偲ばれる、ステージでの合唱やダンスの醸し出す“集団としての緊密感”がなかなか効いていて、登場人物の女性たちの境遇にある者が他では得られない距離感をフーゾク仲間のなかで得ているのかもしれないことを期せずして表している、という気にさせられた。かなり凄惨なリンチも出てくるのに、何だか芯からの悪は存在していない感じに対しては、賛否があるようにも思った。ステージに歌と踊りを積極的に取り入れたことで、ソフィスティケートされた部分が現実感を追いやったという側面があるのかもしれない。だが、僕自身は、本作における歌と踊りの取り入れに関して、大いに支持したいように思う。

 松島作品がいつも見せてくれる映画ネタの部分についても、僕の歳だと『小さな恋のメロディ』に笑いつつ、アクション場面でのスローモーションの後のジャンプカットのような“映画風の再現における芸の細かさ”に感心し、かなり楽しませてもらった。ゆうり17歳(竹本菜津美)の過去にまつわる挿話での多情な母親のセックスシーンにも笑いつつ感心した。あの突き抜けた明るさと共にあった迫真性の微妙な匙加減は、なかなかのものだ。リアルになり過ぎてもリアルから離れすぎても上手くないわけで、よい塩梅が難しいところだと思う。

 思い掛けなかったのが、客のほうもけっこう若い設定にしてあったことで、一緒に散歩するだけのデート・サービスを23歳の若者が1万円払って買ったりするのだろうかと思ったりしたのだが、妙に納得感があって今どきは案外そうなのかもしれないとの気付きを与えてくれたような気がする。格差社会化が進むなかで、経済格差だけでなく恋愛についても指摘され始めたのは、2000年代に入ってからだったように思うが、今やデートサービスに若者が手を出すようになっているというのは、現実なのだろうか。


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