Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》12.21.


vol.234

'14.12.21.

南河内万歳一座『ジャングル』高知公演
会場:高知市文化プラザかるぽーと小ホール

 南河内万歳一座の芝居を観るのはいくつ目になるのだろう。まだ、片手に余るくらいしか観てないようには思うが、最近ではいつも、僕と同時代かそれ以前の昭和歌謡が流れるレトロ感が、妙に嬉しいような気恥ずかしいような微妙な心情をくすぐっていたのだが、今回は、僕にとっては馴染みのない唄で少々意表を突かれた。
 最後は、倍賞千恵子の「さよならはダンスの後に」なっていたから、いつものパターンに帰っていたのではあるけれど、なにかにつけ“欲張りすぎて足らなくなっているジャングル”のような日本の怖さが忍び寄るなかで、黙ってただ踊っていて良いのかとの思いと、ただもう黙って踊るしかない“滅びの時を待つ心境”とが交錯しているようで、いつも以上に印象深かった。
 かねがね僕は、あざとい演出を素人に強迫して商売にしているようにしか思えない“サプライズ”ブームが日本に上陸したことを苦々しく思っているのだが、作者の内藤もどうやらそうらしいとちょっとほくそ笑んだ。
 芝居の構成は、僕の愛好する映画監督ルイス・ブニュエルの『皆殺しの天使』['62]を思わせる不条理劇だったように思うが、持ち込まれていたギャグそのものは、僕にはあまり弾けて響いて来なかったのが少々残念だった。馬鹿馬鹿しさがそのまんま馬鹿馬鹿しく映ってくるだけで、そこから触発される感情とかイメージというものが乏しく感じられた。
 サプライズ・セレモニーとしての結婚式はまだしも、なんで修学旅行よ、とか思いながら、そう言えば、入学式や卒業式ではなく、確かに修学旅行こそが学校時分の最大メモリアルイベントではあるなぁという気はした。そして、内藤劇ではよく見かけるように思う“一斉唱和での「え?」と振り向き”も健在で、客演の多さが意外なほど一体感のある舞台だったように思う。トタン板の仕切りが剥がれて姿を現したジャングルがけっこう見栄えがしただけに、もっと活用されてもいいような気がした。


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