Arts Calendar/Art's Report site/《YAMAsan no Live_bibouroku》11.28.


vol.232

'14.11.28.

劇団NLT公演『OH!マイママ』(高知市民劇場第311回例会)
会場:県民文化ホール・オレンジ

何ともフレンチなお話だった。ブリケール&ラセイグ作の台本は、いつの作品なのだろう。結局のところ、登場する5人の男女の全員が、複数の相手への想いと性交渉を並行させながらもいがみ合うこともなく、且つ生物学的ヘテロ間交渉しか持っていない者が一人もいなかったという、現政権の女性閣僚たちの目などからすれば、乱痴気としか言えない行状ということになるのだろうが、実にユーモラスでディーセントな大人の味わいに満ちた関係性が描かれていて、大いに感心した。
 よくぞ思いついたと思うばかりのややこしい関係なのだが、恋愛の何たるかや恋愛感情の何が最も大切な部分であるかを知悉し、よき人間関係を作り上げる技の達人とも言うべきマチルド(木村有里)の人物造形が鮮やかだった。彼女の25年間の過ごし方も凄いが、25年目の椿事に即応して作り上げた物語と収め方に恐れ入った。マチルドの作り上げた話にしろ、彼女の親友マリィの作り上げた人生にしろ、思い切りよく大胆な創造というのは、やはり女性のほうに恵まれた特質なのかもしれないという気がした。
 アルベール・ラマール(加納健次)の元を去った親友マリィの残した彼女の息子ルイ(弓澤公望)をアルベールと共に育てあげ、ルイの結婚に合わせてアルベールと正式に結婚し、内縁関係を解消するというような25年を過ごす女性がフランスならではのものだとは決して思わないが、そのエスプリにはやはりフランス的香気があったように思う。
 フランス語の達者なアメリカ陸軍大佐フランク(川端愼二)の生き方やアルベール、ルイ父子の明るく伸びやかな大らかさにもフランス的自由と個人主義の尊重が窺われ、スウェーデンからの留学生ジャサント(守屋利香)が何ゆえフランスに憧れ留学しているのかにも得心のいく設えになっていて、ラマール家で過ごした経験によって家族という掛替えのない縁への向かい方を見直す顛末になっていたのが見事で、的確に主題を浮き彫りにしていて気が利いていた。
 特異なキャラのフランクになるほどの納得感を与えてくれていた川端のデリケートな演技と加納の演じた国会議員の息子のぼんぼんぶりがなかなか効いていた気がする。


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