Arts Calendar/Art's Report site/《WADA Map》「パール」展

vol.140


■「パール」展-その輝きのすべて-■



■2005年10月8日〜2006年1月22日■
■東京・上野「国立科学博物館」■



多くの日本人、とくに女性は、日本で採れる天然の海の真珠こそが本物の真珠と思う人が多いのではないだろうか。日本の天然海洋真珠>日本の養殖真珠>淡水真珠(天然・養殖)>南洋真珠>模造真珠。シャネルのアクセサリーだったら、模造真珠でも2位・3位に割り込む、というのが、漠然としたランキングだと思う。そんな風に思っているから「科学博物館」での「パール」展には、違和感があるわけだ。電車内のポスター、チケット、などなど「科学」をいっさい感じさせない広報に微妙なズレを感じつつ。

展示の中身は3種類。古今東西の真珠を使った豪華なアクセサリーの数々。各地の真珠の採取・養殖方法。いろんな種類の真珠と真珠貝。初めのうちこそ、真珠ができていく過程なんていう展示にも「ほぅなるほど」などと見ていたのだが、すぐ横に見えているマリリン・モンローやオードリー・ヘプバーンのネックレスのほうに気を取られてしまう。展示されている道具を使って簡単に真珠が私にも作れるというのでなければ、できかたに興味はない。

やっぱり真珠っていうのは、ただ綺麗で純粋であって欲しいもの。貝の中に偶然でも故意でも異物が入ってそれを貝の実が嫌がってできたものなんて嫌なのね。カルシウムがどうなって、なんてどうでもいい。できれば月の雫だの人魚の涙だの、そういうふうにできて欲しいもの。

そういうわけで、華やかな表舞台と見たくなかった舞台裏がまさに表裏一体で展示されている。珊瑚のように真っ赤な真珠、瑪瑙のように縞模様のある淡いピンクの真珠など標本の時点でも不謹慎な者にさえ興味深いものはある。ただ、それについての何故・どうしてはない。水とは無縁な印象のあるアメリカ先住民の天然の淡水真珠を使った装身具、世界各地に古くからある天然真珠の祭祀具など、水の豊富な島国ニッポンの真珠観を覆すような展示もある。真珠ランキングを恥じてしまうほど、素敵な紀元前の装身具もある。博物館で真珠を取り上げるなら、それらを通して真珠に惹かれる人の心に踏み込んだ展示を期待したい。

この展覧会は世界各地での巡回展示となる。日本での特別協賛は、MIKIMOTO。その他Cartier、Tiffanyがスポンサーに近い形で関わっている(各社が所有しているアクセサリーの展示が多い)。あ〜なるほどねぇ、というわけ。展示の終盤はMIKIMOTO一色となり、最後に「日本の真珠」というコーナーがる。社内博物館の一室のような展示、そして、そのままMIKIMOTO真珠島の売店そっくりの一角に導かれ、終了。


2005年11月25日

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