Arts Calendar/Art's Report site/《WADA Map》22th scandinavian connection 2005 March 25

vol.130


22th scandinavian connection 2005 March



2005年3月25日
東京・江古田BUDDY

22th scandeinvian connection
ボリストゥルム・モリ デュオ
 ヨーハン・ボリストゥルム(Sax,Fl)
 森泰人(B)
 おおたか静流(Vo)


森さんのライブに、初めて行く友人を誘うとき「おとな〜な感じの、でも楽しいライブ」と説明することが多い。今回そんなことを言っていたら「大嘘つき」または「見当違いなやつ」と思われてしまうところだった。何度も一緒に行っている友人だったから、それは大丈夫だったんだけど。 ベースとサックスのデュオ、どんなに渋いライブになるんだろうか。でも?さらに?そこにおおたか静流さんが加わる(ツアー中、東京のみ)という。いやぁどんなことになるんだか!おおたかさんは、NHK教育テレビ「にほんごであそぼ」の音楽・歌を担当されている。幼児番組好きな私はビデオに録ってまで時々見ている大好きな番組だ。その「にほんごであそぼ」のエッセンスが満載のライブになる。

コロラチュラっていうのか、人間のくちで出せるすべての音を駆使して、おおたかさんが密林へと誘うオープニング。お行儀が悪いと眉を顰める人も、怒られれば怒られるほど子供の頃は大好きだったでしょ?こういう音。というような音と美声が連なって重なって。これもまた音楽や言葉の始まりなんだろうなと思う。

歌?音楽?言葉遊び?のあと、森さんとサックスのヨーハンが登場。おおたかさんが「ふるさと」を歌い、その間に子供たちの詩も朗読する。子供だからの勘違いや発想がおもしろい詩をいくつか。日本語がわからないヨーハンが「ふるさと」の歌詞に合わせ、子供の言葉に合わせて絶妙に音色を変える。楽譜もあるし、リハーサルもしただろうけど、日本人より日本語をわかっているように。「うさぎおいし」はウサギが美味しいんじゃなくて、追うだったのね、というのはよくある話。そのへんの分かりにくい昔の言い回しとか、日本人のDNAレベルの情緒とか、全部わかっているみたい。それって、子供の頃の懐かしい風景というのは万国共通の色であり、この曲に込められていて、ヨーハンは自分の子供時代の音を曲にのせているんだろうか。

普通に歌い始めた曲も途中で脱線したり、遅刻してしまったという森さんを責める暴言が混ざったり、楽器も変な音を出したりと、歌声に聴きほれてばかりはいられない。目を閉じて聴き入ろうかという頃合にクスクス笑いのさざ波も寄せてくる。でも、どんなに変な歌詞、音を歌っても、おおたかさんに歌姫という言葉を捧げたくなってくる。何をやっても、真剣に、でも自身が楽しみながら歌う様子がかっこいい。だから私たちも音のひとつひとつに真剣に耳を傾け、ちいさな音の遊びに笑うことができる。小柄な体からびっくりするほどのボリュームのある声がまっすぐに響く。聞き覚えのある歌も今はじめて聴く歌になる。

ベースとサックスのデュオでの真骨頂が2ndの「Blues for Al」。森さんのベースの「弦」の音。ベースを聴いていて、これほど「弦」という言葉を強く感じたことがあっただろうか?森さんの手と糸がそこの空気を震わせて、心に、体に響く音を出す。タイトルのAl、これは森さんの旧知のドラマー、彼に捧げる曲という。この曲はデュオでのCDを聴いていると、ふと「ドラム?パーカッションが入っていたっけ?」とライナーを確認してしまう。ライブでも、目の前で明らかにベースとサックスの二人なのに、エッジなリズムが聴こえてくる。森さんが足で取るリズムが響き、まるでドラムがサイドスティックでリズムを刻んでいるように。そして柔らかな息遣いそのもののような、ヨーハンの優しいサックスの音。ビターでクールな曲。決して自分が前面に出ようとはしない森さんのベースとヨーハンのサックスで、デュオというと、すごく地味なイメージもある。でも、音楽、ライブを聴くというのは、空気の流れに耳を傾けるということだと思う。空気はすべてのものを運び、伝える。わずかな空気の震えにも敏感でありたいと思う。そして、1stのオープニングからおおたかさんの声を逃すまいとしていたことが、空気のひそやかな気配も感じられる耳を作ってくれたように思う。

ラスト。「にほんごであそぼ」のテーマソング(?)「ぴっとんへべへべ」をおおたかさんが歌い、森さん・ヨーハンも一緒に踊るという!!!コミカルな手遊び風のダンス。ステージの真ん中に誰が立つか、ひとしきり譲り合った後、森さんはちょっと後ろ端のほうでテレながらも。びっくりしたのはヨーハンが堂々としかも完璧に踊ったこと!そのまま番組で踊れますって!一言も話さず、物静かに微笑み、ステージにいた控えめな様子はまったくなくなり、ダンサーが本職だったんじゃないの?と疑うほど。

静かに聴きいるよりは、笑うほうが多かったかもしれないライブだったけど、終わってみればやはり、じっくりとしっかりと音楽を聴いたという思いは強い。きょうは笑うことで自分の腹筋も使ったし、すごく心地よく眠りにつけそうな。。。


2005年3月25日
東京・江古田BUDDYにて

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