Arts Calendar/Art's Report site/《WADA Map》19th scandinavian connection 2004 June 4

vol.124


19th scandinavian connection 2004 June 4



2004年6月4日
東京・南青山BODY&SOUL

19th scandeinvian connection
ホッド・オブライアン トリオ
 ホッド・オブライアン(Pf)
 アンダーシュ・シェルベリ(Drs)
 森泰人(B)

「スカンジナビアンで知り合った、アメリカのホッド・オブライアン」がピアノの今回のトリオ。1曲目から、なんだかすごくストレート。「ホッド・オブライアンのダンディズム」と森さんのいうピアノ。どんなだろう?と大きな期待を持ってライブの始まりを迎えた。にしては、拍子抜けしてしまうほどにストレート。だが、ライブが進むにつれ、わかってきた。人に苦労を見せずに、ごくごく簡単な様子で演奏する。そして知らぬ間にその世界に引き込んでしまう。

ホッド・オブライアンの真後ろにぺったりくっつくほどのテーブルで聴いた。あけたピアノのフタが作る三角形のなかに森さんとアンダーシュが見える。ホッドの手元も表情もまったく見えないのだけど、ここはおもしろい席。合図ともつかないほどの森さん・アンダーシュの笑顔がホッドに向けられる。ライブ中ってこういう感じで仲間が見えるのね〜。と、ちょっとピアニストの目線で自分がライブを作っている仲間のような気分をささやかに体験。

まずは、3人のアンサンブルをたっぷりと楽しんだ1st。聴き慣れた森さんのベースもアンダーシュのドラムも若々しく、いつもよりステージが明るく感じる。68歳のホッド・オブライアンがリーダーとなってのトリオは大木から新芽が伸びやかに育つような力強さと新鮮さがある。簡単に木登りできそうな親しみやすい木。無風の1stでただ初々しく見えたこの大木は、2ndでは一陣の風に葉を揺らし、夕焼けに染まり、星を枝に掛け、とたくさんの表情を見せてくれる。

休憩中、あちこちでものすごい勢いのおしゃべりが聴こえる。1stで、すっかりライブハウスは盛り上がる。ホッド・オブライアンの掌に包まれてしまった。

2nd。それぞれの個性が際立ってくるのはこれから。軽やかなボサノバ。甘ーいバラード。ドラムで突っ走った後、ベースをフューチャーしてクールダウン。ホッド・オブライアンはお客さんだけでなく、仲間も乗せるのがうまい。1stで「聴き慣れた」と思ってしまったアンダーシュのドラムも森さんのベースも2ndでの印象はまったく変わる。1stのストレートな感じは2ndへの助走に過ぎなかったようだ。

目を開けているのかも定かでないように、うっとりと甘いバラード。曲が終わって初めて、甘さの中に溶け込んでいたことに気付く。これがホッド・オブライアンのピアノなんだ、と思う。嫌みのない極上の甘さの隠し味に、ほんのちょっとのスパイスがある。これが「ダンディズム」ね。溜め息の中の拍手。

うるうるしかかったところへドラムをメインにした1曲で、イナヅマ。アンダーシュのドラムのキレのよさが最高。何度きてくれても楽しみで嬉しいドラマー。正確なリズムキープに支えられた多彩な「技」。アンダーシュが難しい顔をしてドラムを叩いているのを見たことがない。この日もニコニコと、そしてさらりさらりとドラムを叩く。が、この曲に関しては表情はいつも通りでも、ドラムはシャウトする。強い気流を作って店内の空気をきゅーっと真上に捻り上げる。今度は息切れと共に拍手。なんだかお客さんもみんなドキドキしてるみたいだし、ホッドもそう。「クール・ダウンね」と森さんのベースをフューチャーしたブラック・コーヒーのような曲。

いままで聴いた森さんのどの演奏よりもビター。森さんのベースには、厚み、安心感というものを感じることが多かったが、この曲では燻された暖かさを思う。意外ではあったけど、この日いちばん印象的だった曲。

ラストは、デューク・エリントンメドレー!弾むピアノに店内が大喜び。終わり?と思ったところで森さんの笑顔が見える。拍手しかけた手をどうしよう?という中、メドレーはまだまだ続く。ピアノ・トリオでエリントンをビッグバンドの雰囲気でここまで演奏するなんて。最後の最後でそれを聴かせるなんて、ずるいな〜。

当然のアンコールでは、”ベロニカ”を。ホッド・オブライアンの10歳になる娘さんの曲。可愛くて可愛くてしょうがないんだろうなと微笑んでしまうこの曲は、ポップス調でキャンディーやクッキーや、いたずらやポニーテールにリボン。虹色に彩られた少女の毎日。


2004年6月4日
東京・南青山BODY&SOULにて。


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