Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》09/09/27


岩村原太の「万国文化中心報告」vol.270

観光会●水都2009

 観光会を開催しました。大阪中ノ島を会場に水都2009の一環として、全5日間都合7回のワークショップです。終わっての感想としては、中ノ島は大阪市街にはあっても、以外に街っぽくない光ばかりでした。街っぽい光というのもなんだか頭の良くない言い方ですが、遠く四周を建物に囲まれているせいか天空光が多く、また水に反射する影が光環境に影響している風情もあり、面白かったです。

 満月の宵、あるいは夜、日没、日中などいくつものシチュエーションで観光したのですが、見やすかったのは案外に、薄曇りの午後の時間でした。パリの街は圧倒的に初夏の早朝が美しく、京都は冬の夕方、奈良は真夏の昼前、などそれぞれの建物と街路の表情を楽しむお奨めの時間帯があるのですが、大阪は秋・薄曇の午後ですね。建物のそれぞれのディテールが曖昧になって、滑らかで甘い観心地がします。

 東京は初冬の午前がお奨めですが、この街と街の差、建物の個性に追うところが大きい気がします。大阪中心部は建物毎にタイルもガラスも様々で、くっきりした光で観ると目移りしてしまう。ところが東京は以外にも建物の高さがなく、そして没個性気味のビルに映える空の色が大変に美しい。大阪では東に生駒山があるのも見過ごせない環境ですね。東京の海は南側にありますし。やっぱり観光は楽しい。

 今回の観光会の実施に当たっては、一連のワークショップ企画を担当されているディレクター(林さん)のご尽力に本当に感謝いたします。毎回2名のボランティアスタッフも参加してくださって、充実した進行となりました。一般の参加者数も2名〜4名程度でしたから、1時間のワークショップでも比較的丁寧に観光をお話できました。とは言え、自然現象を相手にするので、当たり外れはあったかもしれません。

 この水都2009、中ノ島バラ園の東に新たに整地した公園を会場としています。いまや大阪を代表する造形作家ヤノベケンジさんをはじめ、往年の旺盛な制作力衰えぬ藤浩志さんなど、歴々たるメンバーの「参加型」アートが目白押し。アート、という言葉が大衆化したということなのでしょうか、芸術という言葉にもはや大きな意味も付与できない、状況的にはいささか殺伐とした雰囲気がぬぐいきれません。

 大衆芸術、なんて、語義矛盾だと思っていたら取り残されてしまっていました。

 余り派手やかでなく、しかしフレンドリーに、日常とその日常の奥底にある真実を発見したい、という心持ちの観光会としては、この作業(観光散歩)は決してアートでも芸術でもないんですよね。それでは喰わせ足りないというか、もっと鮮やかに非日常を切り取って欲しいと思うか、観光会を始めた頃、15年ほど前のワークショップ・ブームを思い返したりしながら、観光の意義を考えたりしました。

 自身としては静かな展示室で、ぼんやりと、作家の世界観を考察するのが好きですね。なかなかに、積極的に作家の世界に踏み込んでいって、強い影響を受ける、という体験が苦手な自分なのだということは良く分かりました。

(2009/9/27)


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