Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》08/2/13


岩村原太の「万国文化中心報告」vol.225

ワシントンDC●ケネディ・センター「JAPAN!」

 ポトマックリバーのほとりに白大理石で作られた直方体の建物、幾本ものブロンズ製列柱を小粋にアレンジしたロゴが、ジョンFケネディ・センターのシンボルです。近づいて見上げる大きさには三宅坂の国立劇場と同じくらいのボリュウムを感じますが、この国この街の大きな空、ゆとりある街区の中ではおしゃれなキャンディの箱、高級なチョコレートケーキが収まっているような可愛らしさと感じられます。

 まぁ確かに莫大な量の寄付金を原資としたプログラムが詰め込まれている様子は巨大なギフト・ボックスそのものなので。今回のフェスティバルも実に驚愕のラインナップ。2月2週間に渡り紹介される日本の舞台芸術、及び周辺領域の数々は「JAPAN!」カルチャー+ハイパーカルチャーと題され、まるで東京の幾つかの劇場がそのまま引っ越してきたかのような、ケネディセンター日本人ばっかり状態です。

 センターにはオペラハウス、コンサートホール、大劇場、ファミリーシアター、室内楽ホール、小劇場×2、中規模の実験劇場、ギャラリーが入っています。中核となるオペラハウスを中央に据え、建物の両翼にそれぞれコンサートホールと大劇場を置き、大きな屋根を掛けその劇場間に通路を兼ねた吹き抜けの緩衝空間を取ります。ロビーは各劇場共通で建物の全長に及ぶ赤絨毯張り、ヴェルサイユの鏡の間みたい。

 ロビーと劇場の境目にはドアが無く、その長大なロビー空間での無料イベントなどへの参加が心安く出来るように設計されています。催し物のチケットを持っていなくても劇場ホワイエまではアクセス可能で、このおおらかで豪華な、金と白と赤の空間を、ジョンFケネディ、そしてアイゼンハワー両大統領を記念するアメリカ合衆国の誉れを、思う存分に味わい、享受する時間を望むままにたっぷりと過ごせます。

 山海塾が上演するオペラハウスには、蜷川幸雄氏の身毒丸、新国立劇場バレエ団が訪れます。他会場では万作の会(狂言)、印象派(夏木マリ氏)、笠井叡氏、宮本亜門ミュージカル、ノイズム、珍しいキノコ、など毎日隙間無くパフォーマンスが行われ、他に美術作品展示、建築ファッション他の写真展示、アニメと漫画の紹介、文学関係のレクチュア、ここへ爆弾が落ちたら日本の舞台業界には壊滅的打撃が・・・。

 チケットが低額なのも特徴的だと思いました。小劇場はロビーの両端にあるのですが(野外ステージセットのようなシステムでフレキシブルに仮設増設できるオープンスペース)ここで珍しいキノコ舞踊団が都合3回の無料公演を打ったり、山海塾には15ドルのチケットが用意されていたり、幾つもの展示スペースは全て自由に見て廻れますし。何でしょう、陸の孤島感?にも似た、別天地楽園感覚。とても不思議。

 オペラハウスの詳細については後ほど。

(2008/2/13)


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