Arts Calendar/Art's Report site/《Report from TABISAKI》08/1/31


岩村原太の「万国文化中心報告」vol.224

すばるホール●富田林市

 舞台上舞台&客席の試み。舞台に観覧席を置き、本来の客席を背景にダンス作品を上演しました。セレノグラフィカ「待たない人」コズミック版。もちろん昨年の春から継続して創演してきたピースの総集編です。今回のネライは音楽です。

 上演時間は1時間半。休憩を2回挟みます。同じ建物の中にプラネタリウムや宴会場(結婚式場)、小ホール(展示会あるいはレクチュア用)、レッスン室(リハーサルルーム)などがある大きな市民会館ですので、お客様方に配慮しました。

 仮に、子供連れで来られても退屈な時間がなるべく短くなるように、この劇場の空間としての魅力を、場内の雰囲気を、きちんと味わっていただけるように、もちろんダンスも楽しんでいただけるように。(財)地域創造現代ダンス活性化事業です。

 客席観の本当に豊かな劇場で、会館という感じはしません。大きすぎず狭すぎない舞台も、照明音響機構、どのセクションも過不足無く施設されていて、教科書どおりの造りなのではないでしょうか。使い易さは特筆できるレベルと思います。

 例によって最小量の仕込みを心がけ、ほぼ丸1日を作品内容の調整に当てることが叶いました。音楽音響操作の点でも、充分とはいえませんでしたが今回、初参加の小早川さんにも時間を使っていただきました。充実の、実験の成果は次の通り。

 舞台美術は同じコンセプト(西陣ファクトリーGardenの空間を再現する)の2種類、フレームのみの構成とパネルで囲う装置を途中で交換します。場面の透明度を変化させない照明のデザインは、三浦さんの腕にお任せいたしました。

 音は本来の客席(オーディトリウム)をオルガンの大音響で満たす1曲目と、2曲目は舞台中の観覧席間近で鳴らすパーカッション+弦楽四重奏のアンサンブル。教会堂をイメージした音像の定位が実現した1曲目は、これまでにない大迫力。

 2曲目については音像の移動が企みの中心でした。オーディトリウムから聞こえてくるパーカッションが弦の響きをまとい、客席に覆いかぶさってくる、という具合だったのですが、この録音の中途半端な感じには最後まで翻弄されました。

 観覧席の背後が暗幕でしたので、どうしても未解決なほど理不尽に聞こえることも無く、うまく少しづつ音量が上がるようにオペしてもらったものの、どうやらこの曲の聞き方・聞かせ方には、まだまだ幸せな「奥の奥」がありそうに思います。

 シンプル且つ美しい、舞台装置・照明、そして音響。単純であるがゆえに無愛想になりがちな作品の印象を、劇場の雰囲気が支えて、そして盛り上げてくれるように思いました。「すばるホール」是非一度、お使いになってみてください。

(2008/1/31)


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