こぐれ日録 KOGURE Diary 2010.10/25〜 10/31


こぐれ日録716 2010年 10/25〜 10/31

10/25(月)

また、忙しく一週間だ。あさも、はなと話しているとあっという間に時間がすぎる。

電車の中でアップしたツイッター
「文化政策=文化行政+企業メセナ+アーツNPO+文化政治+文化メディア」
ぼくが10年以上前は、文化という言葉を避けていたこと。でも、いまでは、政治学や行政 法を図らずも授業することになるとともに、マスコミへの懐疑などを深めることもあり、 上のような感じで、文化政策をとらえているという意味だった。

なお、アップするのがめんどうでしなかった(劇場法と関係する)図式は、以下のもの 「アーツマネジメント=アーツカンパニーマネジメント(AC)+サービスオーガニゼーシ ョンマネジメント(SO)+アーツプレースマネジメント(AP)」
いままで、国はACの助成、自治体は、APの運営という形だったのを、変えてAPの運営に中 央政府が関与し助成するという風になることの是非問題となっている(とはいえ、ぼくな どの少数者以外は賛成ということらしいが)。

3限目。3回生ゼミは、織田先生の4回生卒論中間発表をきかせてもらった。
うちよりも着実に書いている人たちもいるようで、ぼく自身への刺激にもなるし、オード リ・ヘップバーンの話をきいていると、ぼくは、キャサリンの方がすきだたあ、とかあれ これ思ったりもする。

とくに、高松市に残っている魚行商「いただきさん」の織田ゼミ発表が面白かった。昔は もっとあったが、高松が平地なので自転車リアカーは珍しいという。福岡市の西新・もも ちのリヤカー部隊をおもいだす。

4回生ゼミは、Wちゃん(パリで2年間フルート修行)の発表。なかなか自分史とのリンクが 深くて痛く、どう突き放して書くことができるか、興味深い。

10/26(火)

劇場法議論は、文化芸術振興基本法から見直してみるべきだよな、と思っている。

劇場法(仮称)案が、公の施設における指定管理者制度についての地方自治法の特別法に なるのなら、ちょっといいかなと思うこともあるけれど、やっぱり、地方自治法自身を見 直しすべきなのはいうまでもない。設備系のもの(ファシリティーズ。自転車置き場など )と機構系のもの(インスティテュート。専門のアーツプレースはじめヒューマンウェア 、ソフトウェアの占める比重が高いもの)に分離して、前者のみ適応するという中川幾郎 さんなどがおっしゃっていたような形がいいのかも。

それよりも、劇場法の一般法であるべき「文化芸術振興基本法」の見直し、あるいは、博 物館法や社会教育法などを含めた抜本的再構築ということを、せっかく文化法学というよ うな動きもあると聞くので、やってほしいものだと思っている。

文化芸術振興基本法(http://www.ron.gr.jp/law/law/bunka_ki.htm)には、各条文に即し たきちんとしら議論をあんまりされないまま、最後の自民党案というところで決まったこ と(文化庁官僚さんのサポートのもと)があって、

たとえば、ずっと違和感がある熟語である「文化芸術」という言葉もそうだし、
生活文化として華道、書道、茶道がかかれたり(ぼくが考える生活文化のイメージと違う し、京都にいると茶道の家元さんが京都芸術センターの館長だったりなっていたはずでど うも違和感がある)、
伝統芸能と地域の伝統芸能が区別されたり、文化庁が所管する国民娯楽の振興などがあっ たりする。

一番、いま自分として、そういうことをここに書くべきではないし、なんかおかしいと思 うのは、「国語」のこと。(国語と区別された日本語もまあそうで、いずれにせよ、外国 人への日本語理解促進のなかに、日本のアーツ鑑賞・体験機会を入れるべきということで 、そういう言語政策のなかで行うべきことだ)・・・この条文だ。ぼくにとっては、あま りにとってつけた(この際入れたというような)条文だと思うのだが、さて 
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(国語についての理解)
第十八条 国は、国語が文化芸術の基盤をなすことにかんがみ、国語について正しい理解 を深めるため、国語教育の充実、国語に関する調査研究及び知識の普及その他の必要な施 策を講ずるものとする。

(日本語教育の充実)
第十九条 国は、外国人の我が国の文化芸術に関する理解に資するよう、外国人に対する 日本語教育の充実を図るため、日本語教育に従事する者の養成及び研修体制の整備、日本 語教育に関する教材の開発その他の必要な施策を講ずるものとする。
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2回生ゼミ。
男子2名がレジュメで発表。内容はともかく(合掌造り、秋元康)、レジュメというものの 作り方をまったくわかっていなかったので、びっくり(もちろん、読書する習慣もなさそ うだし、引用ということもわかっていないようだし・・・)。
早く終わって(色々、区役所に応募することとか、女子たちはやってくれているので)、 男子2名中心に、レジュメの作り方サイトを検索して、メールしておく。
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2回生へ
レジュメの作り方、知っている人とほとんど知らない人がいるので、これでは3回生ゼミに いったとき、2回生までなししていたか!ってこちらも言われてしまうので、以下のサイト をよく読んで来週からのレジュメづくりの参考にしてくださいね。
http://manabubody.exblog.jp/523519
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~kmizobuc/resume.pdf
http://www.let.osaka-u.ac.jp/seiyousi/example01.pdf
http://www.let.osaka-u.ac.jp/seiyousi/example02.pdf
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いやあ、大変だなあ。

教務委員の河野先生からのメールに対応二つ
1)3回生ゼミ2011年度のシラバスをなくしてしまって、作り直す。
2)来年度もしていただきたい、と、非常勤の先生のお二人、清水さんと杉山さん(メール がわからないので携帯で失礼する:また、メールを教えてもらっておかなくちゃ)に連絡 する。

林加奈さんから、あまりにもおめでたい携帯メールが中書島あたりで発見。嬉しすぎて駅 を通り過ぎる。


10/27(水)

9:30から京都府の生協審査担当官への挨拶。
731教室に行ったり来たりは、かなりのバリアフルな世界なので運動になるなあ〜ぜーぜー 。

11:00から、来客。食事も一緒。インドネシアの話になったり、あれこれ楽しい。

12:10から学科会議。レジュメの作り方について、来週2回生ゼミで話すものも提示。
13:30ごろからTAM研。メンバーにレポートの書き方、レジュメの作り方を伝授。

14:30から学部教授会(教養科目関係も説明、FD関係がかなり議論)。
15:20から京都府生協審査の講評・指摘を神妙に聞く。コンピュータ経理との関係はなか なか重い。
でもポイント引当金とか見たことがない費目もあって勉強になる。

あわてて大学評議会に行くと終わっていた。事務局長にバスで話したのに、指名手配され ていた。
学部長と養老の滝で飲む。脇田さんの文化勲章の話とかいろいろ。
記憶に残る学生、という話も面白かったなあ。確かに、そういう学生たち、卒業生たちの ことを思うことが最近よくある。

学部教授会で出ていたことで、すこしいいなと思ったのは、授業アンケートというのは、 その時点の学生の選好だが、卒業生にどんな授業が記憶に残っているのかを聴くという提 案。まあ、そういうものかどうかはこちらで主張すべきだが、アーツと同じで、教育とい うのも、時間がたってその価値が判るようなものほうがいいわけで・・・

帰ると『国際文化研修』秋号がとどいていて、行政法の小早川光郎さん(成蹊大学教授) が巻頭言を書いていて、ぼくが在学中はまだ講義は雄川一郎さんと塩野宏さんで、小早川 さんは演習をうけもってういたぐらいで、団体法(町内会などを対象として)についてレ ポートを書いた覚えがあるぐらい。基礎自治体の人材の「高度の専門的能力」不足とその 調達・育成についての「巻頭言」だった。


10/28(木)

一つ気になることがあって、京都橘大学に寄ってから、長岡京に行こうかと思ったが、一 週間で一番のんびりと、11時までできるときなので、明日朝にすることに。

たまたま今学期、文楽のチラシからアーツマネジメントや文化政策の話をやったので、文 楽自身を素材にはじめてしてみた。これが、なかなか難しいものだった。この面白さをど うやってつたえるか、とくに、音楽としての浄瑠璃の魅力が伝えにくいものだが、これこ そ、アウトリーチ論そのものであるし、鑑賞者開拓、そして、アーツの公共性根拠として の「遺産説」「威信説」のサンプルになるものでもある。

ということで、今週は、同じ阿古屋を坂東玉三郎で見せる。歌舞伎はやはりエンタテイン メント的要素は江戸時代でも人形浄瑠璃よりも強かったのだろうし、劇場の大きさなども あって、採算性がより高い大衆芸術であったわけだし、現在もそれが、営利的なマネジメ ントを可能にする理由だろうなあと思って見せている。はっきりいって、文楽の音楽に比 べて、ぼくにとっては、上手だけれど、ちょっとなあと思うこともないわけではないが・ ・・そうはいっても、長唄の名人、笛の名手は聞きほれるが。

いま、小説吉田学校の続き、戸川猪佐武『小説永田町の争闘第一部』(角川文庫、1984) がカバンの中。社会党の委員長の選挙とかその関係など、ほとんど興味がなかったことが いまになったら、民社党、公明党、社民連、新自由クラブなどとともに、興味を持ってみ てみる。これが、現政権を理解する(乗り気ではないが、現実は現実)歴史的断片だろう と思いつつ。


10/29(金)

気になった書類は無事提出。
あと、A級ミッシングリンクさんの演劇鑑賞名簿と出席票ナンバリング。20名はいないよう だ。
11/1に稽古を見に行かせてもらうので、そのときもって行く。

2限目、社会文化論、158名。10名弱減った。
来週、「政治学概論2、2限目、休講」とあるが、これは、この授業「社会文化論」ですか ?とふーちゃん。いや、事務局が間違いで、3限目の政治学概論2が休講(織田先生の必修 で1回だけ話すから)。
「銀河鉄道の夜」を読み終える。第3稿のブルカニロ博士の部分だけ、教科書の関係で、追 加して説明。

3限目、政治学概論2.26名。
そうそう、昼休み、大学祭が中止になったと拡声マイクで男子学生が伝えていて、昔の大 学構内のようだった。

12/24の劇団態変応援ライブのチラシ
(http://tomojitsu.blogspot.com/2010/10/1224.html)を、山科区役所、東部文化会館、 京都芸術センター(建築家の山崎さんがいらっしゃったので、彼にも20部ww)、ウィング 京都、中京青少年センターに届けながら、京都文化芸術会館へ。そこで、アルティのスタ ッフがいたので、渡したので、アルティもOK。

『高橋竹山津軽三味線ひとり旅』京都府立文化芸術会館。19時5分から約90分間。
2代目高橋竹山のライブというよりも、二人の俳優さん、栗塚旭(初代竹山)と高橋由紀子 (ナミコ。映画でも出ていた新任教師との間の赤ちゃんを竹山の実家で生む盲学校の女生 徒)が、語るなかで、津軽の有名な曲を弾くというもの。

最後は初代が弾いている即興曲に途中から一緒に弾き合わせ、最後は、彼女だけになると いうもので、そのときは、ライブだなあという感慨はあったが、それまでは、かなりセッ ト化されているミュージカル的な舞台だった。でも、映画とか本を読んでいたこともある が、ずいぶん前のことだったので、もう一度、授業に使えるかなあとか思いながら楽しん だ。


10/30(土)

台風14号は、沖合いを通り過ぎた。
御影駅から各駅で1駅、阪神石屋川駅を下る。小さな川、公園の花々。静かだ。
震災でもまた木で復興した酒蔵、現役で、明日からお酒を作るという寸前の場所で、ダン スを見た、いや聴いた、そして、すこし嗅ぎ味わった。

酒蔵・即興ダンス『プラスバッカス』。
灘泉、泉勇之介商店。有限会社だ。
灯りはつけない。蛍光灯ということもある、作業場だからそれは仕方がない。
音はデッド。静かにお酒が生まれる場所だからだろうか。しずやかに、そこは発酵の日常 を刻む。

美術はかなり手が込んでいる。しかし、煩くもなく、あまり使われるというのでもない。
陰が動く。窓が大事な要素だった。すこし閉められ、またすこし別の窓が開く。
即興と仕込み。お酒の発酵も同じなのだろう、体の発酵。
これほど、観るということがこころ揺らぐのは久しぶりである。
囁く音が本当に小さい、そして、大きく体にやってくる。

誰がそこに動いているのか、性別ぐらいはわかる。

これは、宮北裕美さんだな、ということなどはもちろんわかる。
プロデュースをかねている柿尾優さんが、終わり近くに踊りに行くので、
彼は私たちと舞台とをつなげる橋だ。
糸瀬公二さんの動き、岡本早未さんの動き、たぶん、これだろうと体で聞いている。
そして、岡登志子さんがアンサンブルゾネの特徴を控えめにそこへ刻印する。

奥は広い。客席には年配の集団がいる。じょうねんさんが椅子をもってくる。お酒を飲み だすと止まらない。
高村聡子さんというヴォイスの人がとても耳新しかった。

14時過ぎから1時間。奥の部屋はどこかインスタレーションのようだ、体と場所と美術との 。
そして、廊下(下りの傾斜あり)、そして、手前の舞台へ。手前では、ある程度ダンス公 演としての構造が見られる。観客として動くのは好きだ、何かやっぱり、参加していると いう特権を持てるから。

帰り、お酒を買ってぶらぶらあるいていく。ようやく、酔いがほろほろとやってくる、体 の芯と脳の縁辺部から。


10/31(日)

昨夜、あまりにあっさり中日がロッテに負けるもので、さっぱりしてしまって、明日しゃ べることでも考えることになり(夜は仕事しない人なのに)、以下のようなことをメモり 、今朝、ペーパーにした。

ほんとは、国民文化祭が中曽根政権下、三浦朱門文化庁長官時に出来た政治的意味をしゃ べりたいなとは思う(つい、文化庁、都道府県の賞味切れ論にも発展しそうでヤバイ)が 、まず、無意味なのでこんなメモにしておく。

実際はどれだけしゃべれるかはわからないが、まあ、ここにその証拠をおいておこう
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京都府国民文化祭1年前フェスシンポ  2010.10.31
小暮宣雄の発言予定メモ  @京都会館第1ホール

(1)京都府国民文化祭をプロデュースするにあたっての特色づくり(として考えたこと) ? 「手」 手触り、手伝い、手作り 
  実感し手から手へ伝えること
他人任せでない企画と運営
? 「続」 持続できる企画 過程(プロセス)重視 
京都府内(京都市以外)にアーツの拠点が出来ること
アーティスト・イン・レジデンス手法
? 「間」 隙間があり、関わりあえる関係づくり
        外国人やワカモノも関わることができる企画

(2)文化祭の味わい方
?祭は際、差異の実感 
  知らなかったこと、判らないことへのチャレンジ
?隙間で一緒に遊ぶ
        擬似イベントのような、仕掛ける―仕掛けられる関係からの離脱
?「文化=風」を伝え合う喜びを感じる
        風土、風光、風流、風味、風格、風物、風水、
        風雅、風刺、風聞、風力、風塵、風神、風俗


(3)風俗、習俗、民俗、俗世、俗楽(雅楽の反対)、俗謡、俗論の
                                     「俗」 って何?
白川静『字統』で「俗」を調べると
 「谷」(地形の谷とは別)・・・祝いの器(口:サイ)から神気が立ち上る様
 俗 神霊に接することを願う人→神霊の僥倖を自分に願う気持ち(をもつこと、もの)

欲 俗(神霊に接することを願う)に近い 
容:神霊が立ち上がる廟 
浴:廟に行くときに禊すること

(締め)
風−俗 文化を欲するイベント=文化祭と考えると、

風俗の文化祭から、風流(文化が流れる地域)へ、
風俗を楽しみ、風土を改めて感じ考えるきっかけに
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別の話題だが
「演と縁」ということを考えていて、以下のようなブログも書いた朝だった。
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【縁側としての劇場】
縁側・・・・有縁と無縁を行き来できる「側」
演劇は、縁劇 だが、同時に
演劇は、無縁という暗闇(社会的私の死)を一時的につくれる無縁劇場でもある

以下、文法がめちゃくちゃかも知れない(外国人が作った文語詩って思ってね(笑)

演と縁  小暮宣雄

旅人の
ごとく無縁を望みつつ
ふときままにも別の有縁結びしこと
そんな愉楽の土地の黄昏と
土の香りの縁側を懐かしむ

いや、いまもなお、演劇こそが、
われらの縁劇であれかしと願う人びとと
無縁を作る劇場と、
それを支えるスタッフの
演の遠心力こそ、あらまほしかれ
演の遠心力こそ、あらまほしかれ
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