こぐれ日録 KOGURE Diary 2010.5/3〜5/9


こぐれ日録691 2010年 5/3〜5/9

5/3(月)

かんぜん休暇。
中島みゆき、8枚目のアルバム『臨月』1981.3.5。
よく知っているのは、ひとり上手。雪がさだまさしやなあ、と思いつつ、しみじみ。
あした天気になれ、の逆説、あなたが海をみているうちに、の映像的描写。

これで、私の声が聞こえますか、みんな去ってしまった、あ・り・が・と・う、愛していると云ってくれ、親愛なる者へ、臨月、寒水魚、とアルバムを買って聴いてきた。

おかえりなさい、生きていてもいいですか、が抜けている(他の歌手に提供した歌のもの)。断続的につづけよう。予感、はじめまして、御色なおし・・・5枚ほど買っておくか。


5/4(火、みどりの日)

久しぶりに、塚口駅下車。保育園がなつかしい。
ピッコロシアター中ホール。200席ぐらい。ここって1978年のホールながら、400席弱の大ホールも含めてなかなかに使いやすいのではないかな。

チェーホフの中でもすこしほろ苦さが際立つ『ワーニャ伯父さん!』。新訳上演ということ。
兵庫県立ピッコロ劇団オフシアターVOL.23 満席。
訳・演出=島守辰明。13:05〜15:03

ワーニャ伯父さんとあるからには、伯父さんの姪のソーニャ(広瀬綾子)の目線で書かれていると第一義的には思えるが、このソーニャは、中島みゆきの歌的な振られ役(あるいは無視されてしまう片思い役)であるとともに、しっかりと生きて伯父さん(穂積恭平)をささえるけな気な田舎暮らしに耐える娘でもある、
とはいえ、
老教授(森好文)の情けなさはじめ、悲喜劇というよりも、矮小な人間模様の「哀劇」かな。冒頭あたりいささか新劇ぽかったがなかなか味。

天沢退二郎『光車よ、まわれ!』(ちくま文庫、1987、1973年に筑摩書房により刊行)を読む。
一郎が主人公のために、宮沢賢治の風の又三郎をまず想起。天沢が一番好きな童話だといっていたし。
ただ風ではなく水の魔。子どもたちの名前として、中島みゆきも端役だが登場(敵側)。
これの映画化とかは試みられたことはなかったのだろうか。
シュールだし暗いが、けっこう面白いブラックなアニメなどになりそうに思うのだが・・・


5/5(水、こどもの日)

「こどもの日」は、「子ども」でも「子供」でもないのか。はじめて気づいたな。この表記。

ともかく、今日も、花粉症のため、完全休暇になってしまった。
京都芸術センターのオープンキャンパスの様子は見ておきたかったのだが。てんこもり堂と柿尾優&宮北裕美だけは少なくとも必見と思いつつ。

『美しきセルジュ』についていた、ジャック・リヴェット監督『王手飛車取り』(チェスにも将棋と同じような必殺技があるそうだ:28分、フランス作品、1956年)。いかにもフランスの不倫の仕合ごっこ。ゲーム映画のなかに若いヌーヴェルヴァーグの連中がパーティしている。それにしても、主人公の妻の夫って何の仕事なんだろうな。ピアノ弾いて絵を描いて。妻の妹の変身振りにも注目。毛皮の重要度が日本とはえらく違うということもポイント。ウサギの毛皮ってどんなのだろうね。

補足:連休中に最近の論稿をPDF化してみた。

世界劇場会議 国際フォーラム2010 発表論文
◎ 『アーツマネジメント分類学―静態的分類から実践動機分類へ―』小暮宣雄
 2010.2
◎ https://acrobat.com/#d=GzvX6U09*BlCc*AhhGnRqA

2009年度『障害のある人の実演芸術「パフォーミングアーツ」に関する調査研究事業」
◎『交響する福祉へ―「アウトサイダーライブ」の萌芽から』小暮宣 雄 2010.3発行
https://acrobat.com/#d=9IbtvvN4pFr2sngb*ArHgw

「こころのたねとして」報告書文庫本プロジェクト
◎『限界芸術のお話』 小暮宣雄  2008
https://acrobat.com/#d=Cm6IheloXu2ebPSLFUDTxQ

「限界芸術」領域におけるアーツマネジメント理論の構築とその実践
〜「アーツ」を暮らす術としての冠婚葬祭をターゲットとして〜 2007.3 小暮宣雄 (日本アートマネジメント学会『アートマネジメント研究 第8号2007』には、第3章は省略)
https://acrobat.com/#d=ZzIm5uYgTk6EBnCLJsIAPA


5/6(木)

近畿大学文芸学部へ。八戸ノ里から花粉症完全防備で歩く。
名簿ができていて、今年のアートマネジメント論受講者は51名。今日は35名。3回目だが、初めての学生も数名あり。チクセントミハイのフロー理論にもとづく、アーツマネジメントの定義づけに興味を示す学生たち。いつもどおり。帰りは、生協で文房具を買い(ここもキャンパスはいつも工事中だなあ)、長瀬駅から帰る。駅がずいぶんきれいになっていた。確かにすこし近いということもあるが、商店街を通ることでより八戸ノ里よりも長瀬までの距離が短く感じられる。鶴橋でキュウリとオクラのキムチ。

帰って、内田吐夢監督(原作:水上勉)『飢餓海峡』(1965年、183分)をDVDで見る。横長の画面なので、家のテレビではずいぶん小さく感じられる。前は中古ビデオだった。こちらはかなり痛みが激しかった。それにしても、何度見ても圧倒されて3時間がぶっとぶ。前見たときはまだ水上の原作を読んでいなかったから、あまりにも杉戸八重(左幸子)のエロティシズムに圧倒されたものだったし、最後はなんかあっけなかったように思っていた。今回ももちろん、左幸子と後半のしらを切る舞鶴の実業家(篤志家)樽見京一郎こと、犬飼多吉を演ずる三国連太郎との嵐のシーンの逆転しつつ、連続する性愛に泣くのだが、「飢餓」問題が、また、日本に身近になってきたこともあって、より、差別構造の方に心が動いたのも事実。

犬飼多吉の幼少時代を原作から映画では省くのは、ミステリーのテンポからしたら間違いではなかったけれど、いまであれば、娼妓中心だけではなく、被差別部落の問題を含めて、より冷静に日本の差別問題を描けるのかも知れない。それにしても、オンリーさん、ナワバリ=ヤクザ、売春、犯罪、警察捜査、土葬・・・テーマが溢れかえる映画である。小説の元の一つとなる洞爺丸転覆事故が、『おくりびと』の株[棺協会の創業者を生んだことなど、興味尽きない映画。日本映画のベスト3に入れる人がいるのはうなずける。

田中良紹(よしつぐ)『裏支配―今明かされる田中角栄の真実』(2003年 廣済堂出版)をようやく最後まで読む。著者は、1945年仙台市生、慶応大学経済学部卒 鞄結桾送(TBS)入社、ドキュメンタリー、番組ディレクター、1991年退社、国会TVの推進。
田中角栄を読みながらいままでの小沢一郎とダブって見てしまう。
新聞社がテレビ局(キー局だけではなく、地方局まで)を系列化するところなど今に通じる日本のマスコミの癌が政治ドキュメントから浮き彫りになるのもまた興味深い。


5/7(金)

1限目、都市と文化資源。54名。
わらべうた、とりわけ、お手玉うたにしぼって、音楽、歌の原点をさぐろうと思ったのだが、機材の使い方がなかなかいうまくいかない。歌詞を見せながら、CDを流すということが9501教室ではそのままではできないので、CDカセットを持ち込んだのだが、MDは動くのにCDが壊れているものを持ってきてしまった。

ちゃんとノートを作って、普通の講義のほうがいいのかも知れない。
創発的に授業をしたいと思うが、これは2年目からかも。
ふと、五木の子守唄だけのCDがあったはずだが探せず。どこかにあったはずだが、子守唄論へ持っていっても、どうも聴衆の反応はないようで、試行錯誤が続きそう。

まあ、とりあえず、遊劇体・多神教の観劇集計でもしておこう。あれ?21日の初日、25人に増えている!岡本さんにメールしておかなくちゃ。

2限目、政治学概論。5回目。111名。前回は、少し私語が収まっていたのだが、今回はまたうるさくなっていたようだ。はじめは注意したが、前回みたいに、うるさい連中のそばであれこれ言わないと無理なのか。
政治学だけに、コントロールできないという自分のパワーのなさが笑えるな。次回は地方自治なのだが、市町村合併が終わったことから、すこし教科書への補足がいりそうだ。

あるいは、ちょっと、時事問題とか、日本の政治の歴史などをするかどうか?記者クラブの問題とか、1955年体制から小泉政権、そして現在というような。オリックス不動産京都水族館なんかも俎上に出したいんだけどなあ。

かえって、2月の世界劇場会議(名古屋)で買っていた(1000円)、DVD、sずこホール、演劇交響曲第一番『十年音泉(てんねんおんせん)』を視聴。2007.2.17.18に行われた公共ホールの10周年記念ライブ映像。
総合演出は全体の監修も兼ねる野村誠のほか、倉品淳子、矢内原未邦。
記録制作の監修は藤浩志。

はじめの演劇的なコント?みたいなのがすこし臭いかなあとか微妙に思ったり、せりふがなかなかききとれなかったりしているうちに睡眠していたようで、ところが、つくしの会児童合唱部のコーラスで目が覚める。おお、声の力よ。
よくみていると「たけやぶ」ではなく「けたやぶ」。この場にいないとこの面白さはなかなかわかりづらいのだが、一瞬面白いものがあると、がらりと印象が変わってくることがまたあって、面白い経験だった。


5/8(土)

午後から大学院、アーツマネジメントの講義。とはいえ、4名(一人は追加登録、でも途中で帰った)なので、演習である。三訂のアーツ・マネジメント概論を読み出す。序章の伊藤裕夫(やすお)さんのところを丁寧に読む。伊藤さんが電通総研にいてメセナを推進した人であることなどを交えて、言葉の意味をかみ締める。それにしても、アーツマネジメント領域を営利企業ではなく、非営利組織、とりわけ、非政府のNPOへとぎゅっとしぼっているなあと改めて思う。

わたしなど、学生、院生との関係で、そこまでしぼってしまうとお客さんをほとんどのがすという実利面もあるが、それよりも、一歩引いて、3つの局面、営利、非営利民間、政府(行政、自治体、外郭団体)を比較するのが面白いし、どれを選ぶかはそれぞれで、その長短、特質を知るほうがいいように思うようになってきたので、すこし、解説を交えることになる。でも、中途半端よりも、どちらかに決め打ちするほうがすきっとはするので、ぼくが教科書を書くと、中途半端な俯瞰になるのかも知れない。

帰り、すこし、民謡を聴きながら、日本の伝統音楽のレジュメづくり。メリスマ(シラブルの対語として)の意味を確かめたり。http://imion.jp/index.asp?id=68&b_chkNum=4095&SecWord=%83V%83%89%83u%83%8B%8C%5E%81%5E%83%81%83%8A%83X%83%7D%8C%5E

帰って、CD鑑賞。現代日本の音楽―京都をイメージした作品集第3集 1983-1977。 京都市交響楽団(小泉和裕指揮、横笛は赤尾三千子:石井眞木「笛独奏とオーケストラのための交響詩《祇王》―陰影の譜―」)。
色々面白い曲があったが、外山雄三(京都幻想)が意外によかったのが印象的。細川俊夫とか効き慣れている(オーケストラのための「遠景」T)が、もちろん、しみじみ楽しい。ほかに、林光、新実徳英、石井眞木(横笛がすごくよかったな、やっぱり)。

これを買ったのは、文化資源としての京都ということもあったが、京都信用金庫(榊田喜四郎理事長時代)の文化事業(コミュニティバンクとしての活動:京都市文化事業基金)を改めて考えようとおもったからだった。これからもっと調べるつもり。


5/9(日)

『《音楽》の正しい聴き方』というトークライブが、昨日と今日、神戸アートビレッジセンターであったので、12時前に神戸駅から新開地へと急いだ。ボートピアで賑わっているのねえ、と思ったら、それプラス音楽祭がいたるところであったので、こんなにも賑やかなのだった。はながKAVCの入口で立っていた。

昨日も藤本由紀夫さんはじめ興味深いラインアップだったが(大学院の授業も充実していたので、いけなかったのは残念だが仕方なし)、今日も、トップバッターからガツンとくるラインアップであった。すごいなあ、服部滋樹さんの稠密なトークとその内容のデザイン力。彼が、音楽道具論を話すととても深いので説得力がある。・・・・・思い出をモノにコピーしておく、どこへでもつれていってくれる飛行機、音楽はコミュニケーションの先生であった、チュニジアの夜、あの音楽をききたいので、あのまち、あの場所へいく、電車は廊下。次の一歩を踏にだす手助け。ニーナ・シモンのファーストアルバム・・・・・

それにしても、この催し、岩淵拓郎さんや佐藤亘さん、そしてKAVCのスタッフなどが企画したのだろうが、なんてすばらしい企画なのだろう、奇跡的にという形容詞がつけたいぐらいに・・まちのお祭にあわせて、1階のギャラリーのところを無料で開放して、生DJのような、とても面白い試みであり、すごく充実して勉強になった一日であった。

森本アリさんのあと(モンド系はぼくも大好きなので、服部さんよりもそのヌケかたが違っていて、違う味なトーク)、アニソン(そう呼ぶことを始めて知る)の方のときはちょっとまちをぶらぶらしていて、帰ってくるとみちがえるほどひとだかりで、そのあと、音響作家の佐藤武紀さんになると前と同じぐらいの人びとにもどって、でも、小室哲哉トリビアまじえたマニアックなお話なり。長唄交響曲鶴亀(山田耕筰)は衝撃的だ。
せりふにどう音楽をつけるのか?という基本がここにはある、と。
音響家という人種を代表する正しいあり方なんだろうなあ、と思っている。ほとんどぴんと来ないこともあるが、でも、それにかかわりひきずられるぐらいその作家を面白いと思う人を見ているのはとても面白い。

そして、自分たちには最後となった細馬宏通さん。いやあ、「うん、うーん」と首を傾けるところがもうなんとチャーミングなことか。はななど、こういう講義を大学でもしてられるのかなあ、とお目うるうる(大げさ;笑)。
CDを持ってこなかったので、ギターで生解説、コード引きながら。ビッグX、ぼくは歌は大好きでよく歌っていたが、注射のアニメシーンの記憶がない・・・
ラストに歌でしめてもらったら、120%満足だったが、それをしないのは、かえる目(属)にきてね!音遊びの会のライブ+上映会が6/6にここであるよ、というティーズ作戦だったのかも知れない。

ヱビスビールを大ジョッキーで飲む快感。いやあ、ダイエット中なのに・・・もうすぐ体重測定なのに・・・


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