こぐれ日録 KOGURE Diary 2010.12/20〜12/26


こぐれ日録724 2010年 12/20〜12/26

12/20(月)

午前中、研究室で、4回生の卒業研究の発表順序を考えている。
まだ、数名要約が出ていない。

3回生ゼミ。1/31にはかなり参加するようだ。
今日は、結婚式関係を研究する二人からの発表。
一人は、結婚情報誌『ゼクシー」を1993年の発刊から丹念に読みながら、情報を選ぶという作業を考えている。まだ、アクションを起こしていないが、実際に、ハウスウェディングのある松ヶ崎とかに飛び込むのも面白いが、まずは、リクルートの出版のほうへアプローチすることで、道が拓けるかもなあと思ったりしている。

もう一人は「結納(ゆいのう)」に焦点をあてて、今日の発表で面白かったのは、結納が減少している(さらに、自分からではなくやっている)ことと、離婚率との関係をいったり、結納の歴史について、ウィキペディアレベルだが、少し発表しているところ。

いま、小学館の『日本語語源大辞典』を引くと
《 「いひいれ(言入)」の変化した「ゆひいれ」にあてた「結納」の湯桶読み》p1136 とあって、授業で「結い」という助け合いシステムとは別の語源だったようだが、「結い」という考えは共通のものである部分はあるとまだ思っている。
漢語でケツハフ(結納)という言葉があるようで、そこから来たという説があったり、「ユヒノモノ」(家と家とが新しく姻戚関係を結ぶために共同に飲食する酒肴の意;常民婚姻資料=柳田国男)という語源説もあるようだ。

5限目の授業を手早く終えて、東山から206番。
スムーズにアトリエ劇研に着く。
OGの上田千尋さんが受け付け。気がつくと隣に、4回生のGちゃんがいる。
そういえば、TAM研1回生のNちゃんが、今貂子さんの制作助手に誘われているのだけれど、バイトが〜といっていた。

下鴨車窓第7回公演『王様』脚本・演出:田辺剛。プロデューサーでもある。にこやかに挨拶しているのは、そうだからかも。100分。適度な時間だ。かなり抽象的だが、この前の宮北裕美さんのトルストイほど抽象的でないので、ハムレットだなあ、シェークスピアの役者さんから始まっているなあとすぐに判る仕掛けである。もちろん、ギリシャ悲劇とも連動させる。母子相姦と父親殺しである。

演出で印象的なのは、ちゃっちいナイフとちゃっちすぎる大砲。極端に足が悪い兄。それが、じつは、伝染病や野犬への変身との連関を促すような演出。面白さが気持ち悪さでもあるような、ある種の芝居ががった、いや、芝居の芝居としての自意識過剰な言い回し。

でももちろん、想像力はあらぬ方へ飛ぶ。一番初めに思ったのは、その兄弟たちが、北朝鮮の金王朝の兄弟に見立ててみるということ。権力の中枢に蔓延る術策、陰謀、殺戮、狂気(凶器)。
もちろん、古今東西、あらゆる国家、ミニ天皇に存在する寓話である。シェークスピアがどんな時代にも蘇るのと同じ構造。

日本を思えば、やはり、古代の天皇王朝だろうか。
いや、やはり、王様の不在とは小沢一郎でしかない、ぼくにとっては。
財務大臣は刺されても刺されても蘇る仙谷官房長官その人である。兄弟は、鳩山、菅、そして、原口と見立てる。原口はまだ死なないで野犬にはなってほしくないけれど(笑)。王妃は国民である。小沢一郎の手紙が届くのが遅すぎる。もう一人の庶民の女性でもあるが、その返事も砂に消える。

もちろん、いままでの下鴨車窓+アトリエ劇研の舞台を引きずり出す。言葉を書き付ける女性というシーンは前がとても強烈だったので、それが、農家から宮廷に移行することで、手袋の表と裏になって、ラストの仕掛けがある。また、続編が観たいと思わせるし、前作がまた観たくなる。田辺剛さんの作品は一つ一つが完結しているようで、つながっている。

12/21(火)

次年度のシラバス、とりあえず、入稿した。
あれ?行政法は次年度なかったけ?・・・・教養科目はまだアップしていないとのこと。な〜んだ。ぬかよろこび(笑)
・・・・
都市とアーツ
基礎演習? <e>
基礎演習? <e>
アーツマネジメント論
イベントデザイン論
アーツ演習?
専門演習? <g>
専門演習? <g>
専門演習?(都) <g>
専門演習?(都) <g>
政治学概論?
政治学概論?

2回生ゼミは、レジュメを作って発表するという形の勉強・・・と思っていたら、誰もしていなかった。
来年、もう2回しよう。ということで、何かこちらでしゃべろうかと思ったが、なかなか思いつかず。
別の授業でレジュメを作っている学生とレジュメを忘れた学生がいたので、一つは、貨幣論みたいな話、もう一つは、公立高校の管理体制ということから、ヒエラルキーの上意下達、画一化の中で起こった悲劇について、みんなで話し合うことになる。

今年最後の授業の前半は、前よりわかりやすい『忠臣蔵』の映画。そのはじめの30分ぐらいで、どうして、刃傷になったかを説明してあげておく。
まあ、これを見せてから、歌舞伎バージョンのこの前の『大忠臣蔵』へとすすむのがいいのかも知れない。でも、字幕がいるかもなあ。
最後は、歌舞伎のDVDを見せた。仮名手本忠臣蔵の山科閑居の場(9段目)である。歌右衛門がよく踊っている、踊りのシーンでもない部分ですら・・・


12/22(水)

モラエス、徳島、大正時代 ファド ちあきなおみ・・・

今日は授業はない。会議が4つだけある(笑)。
・・・じつは、研究科会議が実質的にあったので、5つだった。

午前中、ちあきなおみ『待夢』を聞きながら、ファド、ポルトガル・・と思っていたら、そういえば、はながモラエスのことを言っていたことを思い出した。
ちょうど、大正時代だなあ(いや、明治かも。でも、一人本を出版している→◎)。神戸と徳島だけれど、同時代。小泉八雲ほど有名ではないが、徳島にいたときにはよく彼の名前を聴いた、彼が愛した日本女性とともに。 ということで、生協で、モラエスの本を数冊注文しておく。

『待夢』の音楽プロデューサー(東元晃さん)が、ちあきさんがテレビの仕事でポルトガルの海沿いの街を訪ねたときのことが書いてあった。いま、「酔いどれ船」。ファドを日本語歌詞で歌っているっていうことを知らないと、日本歌謡そのものだなあ・・・違いを聞き取るのはこれからだ。
http://sakemoge.blog80.fc2.com/blog-entry-403.html

今年は今日で大学は終わり。掃除はできていないなあ。
生協理事会で、ミールカード導入の準備。利用者が100人ぐらいでるといいなあ。
そうそう、読書奨励制度の利用者が100名弱に達した、よかったな。

アーツカウンシルについて「まずは地域ごとに組織をつくり、実践を進める方が現実的だ」熊倉純子さんがいっているようで、全面的に賛成である。以下、引用
《芸術の適正な評価制度を「劇場法」めぐり意見交換(神戸新聞 2010/12/21 10:36)  "http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/0003689579.shtml" より
劇場や音楽ホールの新たな整備・助成制度の確立を目指し、制定が検討されている「劇場法」(仮称)のあり方などを考える会合が、神戸大で開かれた。日本文化政策学会の研究大会で、「政権交代後の文化政策を点検する」をテーマに、研究者や関西の文化施設関係者らが望ましい法律の内容をめぐって意見交換した。
(中略)
また、各施設に助成を適正に配分するため、それぞれの活動や芸術性を公正に評価する専門家の評議会(アーツカウンシル)も議題となった。芸団協や国もその必要性には触れているが、熊倉純子・東京芸術大教授は「まずは地域ごとに組織をつくり、実践を進める方が現実的だ」と提言した。(神谷千晶)》


12/23(木)

祝日だが、冬休みに入ったので、旗日(という感覚)はない。それにしても、日の丸は見かけなくなったな。
あさ、昨日、研究室で観ようとしてちょっとしか観られなかったDVD『完全解説保存版 裁判員制度』(2009、123分)を観る。ここで冒頭、大きな日の丸を拝む。監督:山崎英樹。取材協力:法務省裁判員制度啓発推進室。公明党の漆原良夫議員の言葉が最後にあって、なんか、与党だった人たちが遠い昔のように感じる。

朝芝居!AI・HALL。
11時からなので、13時15分ぐらいにわたるので、朝公演が多いという学校公演ほどでないが、まあ、高齢化時代にぴったりの開演。ぼくより随分上の方々。竹下景子さんが出るからでもあるが。1972年、カップヌードル発売のとき高校生という役柄。
燐光群『3分間の女の一生』作・演出:坂手洋二。いつもながらに、3分間という話が満載で、2時間を越えるが、飽きさせない。隣の女性のお腹が大きくなったのは面白かったが。

客演が多く、しかも燐光群の役者さんともうまく一体化している。目を引いたのは、小山萌子。松岡洋子はしぶく、かなり小さな笹野鈴々音は一度舞台で見たことがある。

西梅田駅そばのウドンソバ立ち食い屋さんの若い女性の応対が、吉野家などとは微妙に違うのが面白い。早く食べたかったので、天丼390円にする。

精華小劇場。同じように長い悪い芝居第11回公演『キョム!』作・演出:山崎彬。2回目に観たとき、これはいかん〜と思ったが、それよりはましな後半だった。すこし、柿喰う客の『露出狂』を見本にしているのか(もちろん、テンポは悪い芝居のほうがずいぶんゆるい)知らないが、面白い点があった(浅田奈緒子のキャラとかは、ツンデレの反対かな?カワコワ?)。

ただ、はじめの1時間はかなり時間の経過が長くて、耐えるのが大変(すこし居眠りはしたが)だった。流行とかを追っていない部分があるが、どうして、こうもホームレス殺害事件を扱うのに表層的なのかなあ、そして、発信してください!とか言って観客や時代に阿るのだろうなあ、ずるい感じがどうしてもする。しかしながら、これがいまの日本のずるく、阿る世相を反映しているという意味で、ますます反省的になれば、ここも続いている劇団になるのだろうし、そうならなかったら、消滅するのだろう。

帰って、2009年フランス映画、でもロシア人(ユダヤ人)的味わいがいっぱいの映画を見る。ソ連の国旗を久しぶりに見た。『The CONCERT』監督:ラデュ・ミヘイレアニュ。2009年、124分。

ミュウ=ミュウのいい感じの加齢とメラニー・ロランの綺麗さにうっとり。こうされると、チャイコフスキーってけっこういいかもと思わされてしまうなあ。指揮者には、アレクセイ・グシュコフ。


12/24(金)

12時すぎに京都駅着。11階伊勢丹レストラン街へ。京都橘高校の卒業生などが7名(全部女子、そのうち一人がぼくの四回生ゼミ生)がPosca7というブラスパレードバンドを作って活動していて、今日はトナカイさんとサンタさんになって、通路や中華料理店内などに入って演奏しているのを目撃する。想像以上にみんなから愛されていて、うるうる。連中もちゃんとワークしながらいい感じで交流している。数年やってきたからの落ち着きだろう。
そのあと、13時15分は7階。そして夕方2階のセッションあり。ビジネス化できそうな勢いだなあ。

205系統で荒神口へ。天狗というウドンソバ屋さんで食事。ノートがあって、病院帰りの人がうるっとする書き込みをしていて、ラブホテルノートって大昔あったなあとか思っている。
14時半集合だったので、京都府立文化芸術会館別館で読書しようとしたら、先生!と声がかかる。大阪成蹊大芸術学部3回生の日本画の学生2名と先生である。
彼女たちの先輩たちの日本がグループ展『成-RARU-展』vol.6を見たあとのお茶であった。19時から、態変応援ライブを誘おうかと思ったが、まあ、予定があるに決まっているのでよした。

事務室にロビーの明かりをつけてもらったり、打ち上げの場所を聞いたりする。打ち上げは結局「くれない」にした。近いし、夜中の1時ぐらいまでやってMOPさんも使っていたという情報のため(25名の参加、恩師の灘校教頭夫妻とかうちの1回生とかも誘った)。出町柳のカンカラというところも教えてもらったけれど。

当日パンフは出来ていないので、チラシをその代わりに。アンケートが一番上。態変共実のA3ではさむ。韓国公演が変更になったのでそれを川崎さんが刷ってきたあと、挟み込み。200部を作っておく。
リハをロビーで聞いたり、すこし入ってみたり。おーまきちまきさんの声が、10年以上前に聞いたときより深くなっている気がする。朴根鐘(パク・クンジョン)さんが、ロビーで、アジェンを調律している(このときは、カヤグムと思っていた)。

18時前からお客さん。寒いので、ロビー入場。18時半にはすでに大丈夫なので開場。
19時前から、パギやんがテレビに出た記録を上映する。オンタイムなり。
そのあと、はるまきちまき(歌と鍵盤ハーモニカ、洗濯板などのおーまきちまきさんとピアノのHalma Genさんのニニット)から。大分前に生活サーカスとして聞いたときよりもずっと沁みる。Halma Genさんは、パギやんの伴奏もする。

そのあと、サルプリ舞の金君姫(キム・クニ)。僧舞は大好きなダンスなので、もうぐるぐるしてくる。けっこう、爪先立ち、高揚するなあ、といままでの僧舞のイメージよりも激しさを感じた。
DVDで、劇団態変『ファン・ウンド潜伏記』ダイジェスト。1月公演、そして韓国公演はこれからどう変わるのか、スリリングな楽しみである。

そして、パギやん(趙博)のライブであるが、まずは、朴根鐘さんのアジェン。いやあ、いいです、ぐらぐらくる弓と琴との合体という感じで、フレーズがどんどん変容するところは、中川博志さんのインドの横笛を突然髣髴とさせたりして、いい演奏であり、かれや奥様の太鼓を伴奏にしつつ、Halma Genのピアノも入ってのパギやんライブ、最高である。予定よりもすこし伸びるが、アンコールも無事終わって、21時には客出し。


12/25(土)

飲みすぎ。でもいいお酒だったはず。妻には迷惑かけたが。
新・子連れ狼を寝床で読む。パレスチナ問題の漫画新書とか。
すこし頭痛が治って、ファド。ドゥルス・ポンデス『モメントス』は、喉を絞めて歌っている感じがどうもいただけない。実験的にするファドの新しい展開という賛辞は半分ぐらいは納得できるのだが。つい、アメリア・ロドリゲスを聴いてしまう。ちあきなおみ『待夢』のファドを日本語歌謡的に歌うことは別にいいんだけれど。

夜は、1981年、ヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘップバーンの共演、70歳代でしかもゴールデンポンドで泳ぐ二人の映画を楽しむ。美しくしみじみする映画なり。『黄昏』On Golden pond。

アメリカ映画をすべて否定できないことは、クリント・イーストウッド映画で分かっているのであるが、この『黄昏』(誰そ彼、という古語的な意味として何とか邦題も納得できるが、黄金の池と比べて、どうかなあ、ウェットすぎないか)109分。監督は、マーク・ライデル。

実際にも仲があんまりよろしくなかったという、ジェーン・フォンダとヘンリー・フォンダの関係が軸。ジェーンが新しい夫となる歯医者の連れ子を置いて新婚旅行(結婚式をブリュッセル)に行ってしまう。
老夫婦。いつもヘンリー・フォンダの毒舌するおじいさんは死ぬというが、じつは、はじめて、二人は死と向き合うのは最後のあたりである。


12/26(日)

夜観たのは、やはり、キャサリン・ヘップバーンが出ている映画。1967年コロンビア映画、108分『招かざる客』。なんと、監督(製作)のスタンリー・クレイマーが撮影直後に死亡。公開年には、キャサリン・ヘップバーンの実質上の伴侶である天才的役者、スペンサー・トレイシー(この映画でも夫婦)も67歳で亡くなっている。

昨夜見た『黄昏』が、この映画を意識しているようにどうしても思ってしまうし、そう思うことがとてもいいことのような、運命のようなつながりを感じさせる。ボートをバックさせるヘンリー・フォンダと、車をバックさせて黒人の車に衝突するスペンサー・トレイシーがダブルし、突然の娘の帰還。そして、思いがけない客としての夫候補という点でも同じだ。

もちろん、黒人差別問題がこの映画では重要な論点。しかも、自由主義の新聞社オーナーが、実際の娘の結婚において右往左往するという一見皮肉なコメディ。でも、ハートウォームな映画として出来てしまうあたり、さすがだなあと監督以下すべての出演者を思う(シドニー・ポワチエの長身は若干オバマさんを想起させたりするが)。キャサリン・ホートンがちょっと役不足?とも思ったが、でも、ぜんぜん問題なし。

あさ、シラバスをつくって、大阪成蹊大へ郵送。
"http://kogure.exblog.jp/11784496/"

「2010年 アーツ鑑賞数は、320余となりました。まずはよかったかな」
昨日は二日酔いだったこともあって、夜、関西のダンス大学の競演をアベノ・ロクサドンタブラックに行くのをさぼってしまった。
ということで、2010年は、また、演劇ダンス鑑賞回数が100本を切ってしまった。
92本。そのかわり、音楽(伝統芸能も含む)の鑑賞が66本あって、トータルの実演芸術では、158本となって、まあまずまずか。

ただ、美術鑑賞が、49本と低調だし、映画ももうすこし増えるとしても、いまのところ95本。で、視覚芸術が144本。
文学はカウントしないとして、アーツ鑑賞トータルとして、322本という2010年の結果なり。
まあ、鑑賞って、単に数ではないとしても、遠出もしない一年だったから、まあ、年齢とともに、アーツ鑑賞体力も減退しているなとは思う。


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