こぐれ日録 KOGURE Diary 2002.10



191) 10/28〜10/31

10/28(月)

週末の東京行きと学祭のほどよい疲れ。
地域文化行政論はもう5回目になった。今日は碧水ホールの企画の歴史やホスピタリティについてをメインディッシュに、水口町の基本計画や滋賀県の概要などをコースに加えた。もちろん写真はガムラン。音もジャワガムランを流していると、結構気持ちよくなっているのが分かる。でも学祭の疲れで参加者は33名といままでで一番少ない。

パワーポイントではなく表示装置によるものだが、デザートは新しくできた住人参画型の熊本県苓北町のホール(日経アーキテクチャーの記事から)。東北大学の小野田さんらが設計したもので一度行きたいなと思わせるホールだ。

そのあと、生の声も必要なので、今日は佐藤裕美さんからヴィラ九条山に行って交流した話をしてもらう。こうして学生の話す体験を聴いていると少しずつ知らない間に成長しているのだなあと思う。焦る必要はないのかも知れない。

森小路マジックランプへ。寒くなったこともありお客さんは少なくて、田丸さんには悪いなと思いながら、ライト・パフォーマンス・プレビュー『アーツ・コンペティションin大阪マジックランプ」の第5回目を楽しむ。

NPO法人アーツワークスの鈴木さんも東京からいつも来てくれていて、昨日のアーツワークス総会(理事会)の決定事項を教えてくれる。アーツによるまちづくりや総合学習の時間対応などの柱が追加されて少しずつ地元豊島区などとうまくタイアップするなど自転していく兆しがあって嬉しい。

また、フランチャイズ的に広げるという手もあると議論されたという。
つまり、NPO法人アーツワークス関西とかNPO法人アーツワークス中国のように各地が作ればそこが地元の行政なり産業界、商店街、教育界、福祉界などとタッグを組みやすくなる。そこへ共有されたノウハウを提供したりアーティストを紹介し合う機能を今のNPO法人アーツワークスは本部として持つという案だ。大企業的なマニュアル文化になる虞?とかいろいろな角度からの検討は必要だが、実際に関西(まあ京阪エリアで十分だが)でNPO法人アーツワークスが機能するにはこうして分NPO法人化することが実際的に便利かも知れない。

さて、今日の参加は4組(人)。大道芸的なものが大阪的ですねと鈴木さんが言う。それに、芸術の範囲が芸能へと寄るのが大阪の特色だけれど、その芸能がどこかアーツに媚びないでしかも底抜けなのが東京とひと味ちがうところである。

カタヤマアキヒコ、美術。タイトルを付けていない。視る人の想像を妨げないという。ヘビなどは虫類の人形たちが大勢いる。赤ちゃんの蟻穴が不気味。
まぐろ四郎、ひとり語り。彼は普段でも大きく太い声があって、ほんとに大道芸人として生まれてきたのではないかと思うぐらい。今日は少し中途半端になったと彼は自己批評していた。

伽羅(きゃら)、舞踏、夢幻都市-Musical City-主宰。ぜんぜん知らない踊り手。テープで流されたインド音楽が実に情念的で扇情的だった。宙づりとかあって彼も舞踏のなかではかなり大道芸的である。

圧巻は、サンポールマキ、ベース弾き語り。いつもよく知っている劇団制作の人だけに、その芸を観るのはちょっと恥ずかしいかなと見る前は思ったが、なんとなんと笑えてやっぱり関西人(西の端の赤穂だけど)はすごいと思う。話芸中心で、あのねのねと高田渡を足して2で割った感じか。
萩原朔太郎の「およぐひと」に曲をつけているミスマッチも面白く、静かに詩集を読みたくさせる効果があった。

10/29(火)

午前中に昭和音大の渡辺教授が昨日びわ湖ホールで講演したオペラアメリカの会長を連れて大学にやってきたので、池上学部長などと対応する。その会長の方がアーツインダストリーとカルチュラルインダストリーはUSAでは違うけれど日本ではどうかと(文化の産業化の話をしていた)聴いたりもする。

端所長がミュージカルとオペラの違いを聴いたりして結構面白かった。ミュージカル関係者がこの発言を知ったら雷が落ちるとかいいながら、あちらはエンターテインメントで単純だから公的な助成など必要としていないこととかを話していた(が、ミュージカルをオペラでやったりして動員やファンドレイジングにとても熱心なのはいかにもプラグマチックなUSA人でもある)。彼らは新作オペラを創っていたりして思ったより面白い話だった。

ただ、白人階層がマイノリティー化してメジャーな人たちが別にいるという危機意識をえらく執拗に話していたのは何だかなあであった。みんなが多文化であっていいので、どこがメジャーになるという発想自体に違和感が残る。まあオペラが白人文化の拠り所として観客開発している会長の発言としてぼんやり聴いていればよかったのだろうが。

昼休みにTAM研の小西さんが来てTAM研も臨ま研と同じようにホームページを作りたいというので、中村さんに頼みに行く。そのあとみんなが集まってどんなHPを作るのかわいわいやっていた。ぼくの今日の手ぬぐい、なんていう案も出ていたなあ。

コンソーシアム京都で昨日と同じ講義。質問を出来るだけ書いてもらうようにしたら色々出て次回にそれもテーマにしたいなと思いパワーポイントに追加した(以下がその文章)。

《もし水口町が他団体と合併した場合にホール運営がどうなるか心配。コストのことが合併問題論議の大命題になっているので。一番あおりをくいやすいのが文化事業だし。》
《可児市にできた新しい文化センターのようなすごい施設を作る予算はどうやって出てくるのか不思議だ。》
《碧水ホールで行われている西洋じゃない外国のものに対して年配の方はどんな反応をされているか気になる。住民のニーズ把握はどうやっていしていくのか。》
《「プライベート・ムービー」というはホームビデオで撮ったものをいうのか(「ダンサー・イン・ザ・ダーク」が気に入ったので)。》
《ふるさと創生の1億円で建てられた地元のプラネタリウムで何か出来ないかと思っている、使われていないので。》

さてフェスティバルゲートへ。20時の開演までアートシアターdBのカフェでごはん。階段を上って畳に座って。荒木さんと中西さんに地域文化行政論の画面などを見せながら。

開場。満員。熱気で暑くなる。それにこの新しいダンス専用劇場で、ずっと成長し続け出来上がった完成型のクルスタシアの「ラッセル」(構成振付演出出演/濱谷由美子、出演/椙本雅子)を観るのはどきどきする。でも、第1楽章は前見た試演会よりもずっと奥が深くなっているので安心して続きを見始める。

特によかったのは照明の深さ、そして、音響で周囲の雑音をくるんでしまったこと(三浦あさ子/MAKI、音響も勝藤珠子と卓にいるのは3人とも女性だ)。この小屋の長所を一番はじめにつかんだダンスだったと思う。つまりここはジェットコースターがあって無音にはとても弱いが、他方闇はどんどん深く創られていくに違いない。

椙本さんの和服のお箸踊りは、前も観たがもっともっと面白くなっていた。斜めに身体を広げる彼女の仕草も好きだ。全体に鋭いエッジが際立ちそれが力作なんだけれど音楽の関係もあって、ノンストップ。どこか惜しい感じがする。20:08〜21:10。

10/30(水)

今日はアーツリボンゼミは週末の應典院行きの振替休講なので、なし。自主的に打ち合わせしてくれているといいのだが。入学課から依頼があった高校二年生向けの模擬授業のために、直接奈良県立西の京高等学校へ出かける。株式会社昭栄広報大阪支社というところの企画制作。

「チラシからのぞくアーツマネジメント」。でも時間が14:25〜15:10の45分間しかなくて、アンケートもとらなくちゃいけないし、アーツチラシを並べる準備もあるしでかなり忙しい。
2部構成にしたが第1部お勉強の部が終わったのが15時ちょっと前だったので、2種類のジャンルにわたるチラシを取ってもらうというワークショップはさわりだけになってしまった。

終わってから女子生徒に、90分授業に慣れているんですねと話しかけられて(これはトホホだけど)しかもその生徒が自発的にチラシの整理を手伝ってくれ、えらく感動したりする。事前に22名の応募で当日は26名。半分は男子生徒なのだが、全然違和感なく聴いてもらえてアーツマネジメントの普及という面ではいいことである。

アンケートでは悪いことはあまり書かれないだろうと思う(ここの先生も聴いてくれていたから)が、普通と良いがちょうど半分半分だったから(75点ね)、まあよかったとしよう。12月に舞鶴で90分の高校生模擬授業をするのでその時はこれよりももう少しキャッチなものを練る必要はあると思う。自由欄には、アーツのジャンルの多様性を話し出すときりがないがそれについての驚きがあったし、またアーツマネージャーの実際の仕事をもっと聴きたかったという声もあった。さてどうしようか。

帰り同じく授業をしていた大阪学院大学の吉川淳教授と一緒に西ノ京駅まで歩き、難波まで一緒する。彼は経済企画庁OBなので後輩の鵜瀞さんとかを知っていて話がはずむ。この大学では共通一次以外は入試は全部事務局がするので入試監督とか採点とかしたことがない(作問はたまにするけれど)のだということ。今日も事務局の人がついてきていた。

新大阪メルパルクホールへ。芳江が先に来ていて、木のスプーンやフォークを買っていた。NPO国産材住宅推進協会主催『一人でも多くの人に・・・知ってもらいたい山のこと、だからやります森のコンサート、アトムを歌おう!!“人は森を救えるか?”』。アサクラコンサートの企画。

朝倉泰子さんから5枚もチケットをいただいていて、ぜひ京都橘女子大学の学生さんに聴いてもらいたいと言われていたが、韓国からの留学生2名がやっと反応してくれただけで、もったいないかぎり。そういうこともあって二人ででかけたのだが、まだ1枚チケットが余っていたから親父を呼べばよかったなあと会場の年配男性が楽しそうに歌っているのを観て思ったりする。

ぼくたちも久しぶりに歌ったねえ、コーラスするか、といいながら、ニッセイ新大阪ビルの2階にできた「たちばな」という豆腐中心の和料理居酒屋で道頓堀という地ビールを飲みながらアフターコンサートする。でも、「鉄腕アトム(作詞:谷川俊太郎、作曲:高井達夫)」は結構音域が広くて出だしの低音がちゃんとでなかったりした。「海のトリトン」(作詞:林晴生、作曲:鈴木宏昌)の方が気持ちよく歌える音域で、バリトンの灘井誠の声が特にステキだった。

ジャズ風の歌の時は小さい子がお母さんの膝の上で踊っていたし、楽器の紹介はとても親切な感じで楽器が好きになるものだったし、吉本のポヨヨン?の夫婦の漫才師も嫌みでなくて賑やかな感じがした。歌を歌うこととともに進行をしていたのは元宝塚歌劇団の三矢直生で、彼女は32歳で東京芸大に入学して声楽を学び直したということを言っていた。でも灘井誠や西垣俊郎(テノール)に比べると・・・。アンコールがないのは仕方ないのかも知れないがちょっと寂しかった。

10/31(木)

TAM研はフリマからがぜん求心力が強まってきている。ホームページづくりに12/21のパーティ?のための出し物検討・・とどんどん自主的な動きが出てきている。もう来年度の新1回生の勧誘の話題まで出た。

アーツリボンゼミの方も應典院に向けてそれなりに結構活発だ。でも着メロ披露で歌い出すわまあ賑やかなことで研究室でそれが続くと発狂しそうになる。来年度からは希望者が多くて抽選で選ぶとしてももう少しアーツオリエンティッドな学生が参加できるような方法をとらないとだなあと思う。

でないと、テレビカラオケ吉本大好き、大騒ぎイベントのりにつき合わされて1年間を過ごす羽目になるかも知れない・・・いやまあ、そんな悲観的なことを思わないでもないが、去年だってそんなに大差ないわけで(去年は閉じこもってしまう学生に声を出す勇気とチャンスを拵えるという方向だったが、今度は逆に一見賑やかな借り物の世界に安住している学生たちへ世界の本当の声に静かに耳を澄ませる機会を作れるかどうかが課題なわけで)、じっくりアウトリーチ出来るならやってみる時間はまだある。でも焦らず無理せず、強制は絶対にしないでおくという現実的かつ辛抱のいる対応しかないのだろうとも思ってみる。まだまだ世界が変わる可能性を放棄しないで置かなくちゃ、アーツの力を信じて。

昨日実は、kbsworks art-performance『Yawarakana Yoru』をこの前上田假奈代さんの写真が展示されていた同じneutronで見ようと思っていて、行けなかった。だから今日行こうと思っていたのだが(愛知文化情報センターのオリジナル映画一挙上映界にも行きたかったのだが)、應典院に持っていくファイルが重いのと週末にかけてハードなことになりそうなので、今日は早く帰ることにした。

はなが来月17日のえるびの打ち合わせから帰ってきて、假奈代さんがいなかったこともあり悩んでいる。べらべら言葉のキャッチボールができないからこそはなの歌は生まれるのだから、映像バシャバシャでなく、少しははならしいオールタナティブステージが出来ればいいのじゃないかと慰める。MCの勉強と割り切ればいいしね。


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