こぐれ日録 KOGURE Diary 2002.8



173) 8/26〜8/29


8/26(月)

昨日締め切りだったPAN.PRESSの原稿を慌てて書いて小原啓渡さんに送ります。どうしても身近なネタになってしまいまた娘ネタが多くなります。それでも北村成美さんの子どもワークショップを取材していてよかったわけです。テーマは「こどものリアル体験」としました。

これは、出町柳からの帰りのことですが、ぼんやり特急に座っていると京都橘高校の先生が隣に来られて、23日に砂連尾理さんらによるダンスワークショップをしたと突然言われてびっくりしました。砂連尾さんから少しは聞いてはいましたが、コミュニケーションという角度からの授業のようです。大学の授業にもダンスを入れなくちゃと少し焦ってしまうひとときでした。

出町柳に行ったのは、百万遍交差点を北に行ったところにある京都民医連第二中央病院内で今日から9/28まで美術展が行われるからです。混雑する水曜日を除いて、14時から17時まで外来時)は一般の人が鑑賞できるようになっています(北館の2階に上がるのはお見舞いに来た人のようなさりげさなで見学する必要がありますが)。

『あとりえHopper in・ザ・ホスピタル展2002〜かなかなかな?−蜩の鳴く頃にー』。
あとりえHopper(代表/榎崎真由子)は「知的障害を持つ人のための絵画サークルで」、「2000年5月に誕生して以来、大阪府枚方市くずは公民館にて、月1回、創作活動を行ってい」るグループです。

榎崎さんが一人暮らしの叔母さんを3年前からここで介護することになったことがきっかけの一つになっていて、病院の中に様々な絵(刺繍のような平面作品もあり)を展示することになったそうです。

行く途中にダンサーの峠祐樹(カラノヘア)さんと出会ったので彼も一緒に見学しました。まず病院の南館から。ここは1階が外来になっているので比較的絵を訪ねていきやすいですが、忙しそうにしているスタッフの人たちの邪魔にならないようにはしなくてはいけません。車椅子を押している看護婦さんとちょっと話をしたら今日から展示されていることをよく知っていられました。

病院のさまざまな表示を改めてしみじみと見てしまいます。歌を歌う音楽療法のようなことをしている部屋もあります。難しそうな美術作品が並んでいるわけでもないので、抽象的な作品でも自然と壁に馴染んでいます。この病院のなかで患者さんたちが作ったものも展示されているので、それらと新しくやってきた作品がお話ししているようでもあります。

リハビリで大変そうな北館の玄関脇のコーナーにも2枚展示があって、きっと苦しいリハビリの合間、ほっと一息ついたときに目に飛び込むに違いないと思います。

病室のたまり場やおトイレの近くなど、日頃何もなかった(あるいは違うものが掲げてあった)場所にこのエイブルアート作品があることでちょっと気持ちが動くでしょう。でも、アンケートをとってどうするこうするという性質のものではないので、空気がちょっと違うなという程度でもいいのかも知れません。

ただ、お医者さんや看護人さんたちのスタッフの意見や訪問者、介護の人の感想はどうだろう、最後にはどう変わるだろうとは思いました。あと、私たちのような余計な観察者がどんな影響を与えるかも少し心配にはなりましたが、それでもいろいろ場所を移して鑑賞させていただきました、病院の日常の風景と一緒に。

そのあと、京阪森小路駅へ。ライト・パフォーミング・プレビュー『アーツ・コンペティションin大阪マジックランプ』vol.4。3組だけになってしまいましたが、3つともまったく異なるジャンルでしたし、それぞれがしっかりと届く感じがして、現実の参加をどうするのかとか投票システムをちゃんとできるぐらいの一般の観客づくりも課題ですが、それでも面白いステージでした。(鈴木英生さんが昨夜は西陣のガーデンをマジックランプの田丸隆生さんとともに訪れ、このコンペなどをどう展開するか岩村原太さんらと話し合ったそうです。)

さて、一番始めは丘田イージマン。もうすぐ35歳なので自然とテーマは銭と女になりますとまずつぶやきます。1曲目は「銭のかわ」。哀愁をこめた声とギターです。ギターの音は大きくなくて、弾き語りがときにほんとうにポエムリーディングになります。彼は詩人でもあるようで、詩人たちとの交流が盛んな人のようです。

二人目は藤原理恵子「即興で おどる!」。実は急きょお願いしたようでこの前のライフスペース102での作品を凝縮したものだったそうです。が、寝転がって匍匐する入りは、「美しき天然」が大きく鳴るなかくっきりと時間を区切って、こういうジャンルが違うオムニバス企画ではめざましい効果があり、それからは彼女の危ういバランス、繰り返すジャンプとフォールを見る準備をさせてくれます。無音の時の電車の音も効果音になっていました。

三人目はやっと実現した講談。幕が開くと移動式の高い講談席が舞台の上に作られていました。そこに座った旭堂南湖が真田十勇士、赤穂浪士44士の名前をあげるところから始まります。ハリオオギの説明などがあって、新作「さやま遊園」が披露されます。そのあとは続くって言っていましたが、果たして続きはあるのでしょうか。それはそうとして古い遊園地はどこか講談のネタにぴったりの気がします。続きは怪奇ものもいいのでは?

今日は3組なので時間が余っているのでもう一つ、今度は古典を。数ある難波戦記より徳川家康が逃げ延びる、実にかっこわるいシーンが話されました。ほんとに秀吉びいきな大阪を代表しているお話しです。浪花においては秀吉はタイガースだったのでしょうね、たぶん。

8/27(火)

明日が研究室の掃除なので、片付けているとけっこう未整理のものが多くてうんざりしてしまいます。日経のインターンシップ記事は土曜日の夕刊に小さく出ていましたが、創造館の取材の部分はカットになったようです。NHKの国際向け番組の人から大道芸についてコメントしてほしい(東京都がどうもそういう人を認定をしたとかいう話でした)とあったのですが、よく聞くと英語で話すということ。大道芸についても無理だったのですが、致命傷の語学でお断りしました。ノヴァに行かなくちゃいけないでしょうかねえ。

「たかまつアーツの人づくりプロジェクト」でとったアンケートを集計しました。27名分です。はじめに興味があるジャンルを聞いてみました(ダンスだけはより詳しくしています)。結果は以下のようです。

問1 あなたが興味をもっている芸術ジャンルを以下の中からすべて○で囲んでください。
クラシック音楽12  ポピュラー音楽10  伝統芸能10  演劇17  映画16  文学9  マンガ6  美術10  工芸デザイン3  建築インテリア5  その他1(ジャズ、ロック、カントリー、ウェスタン)
バレエ9  モダンダンス7  コンテンポラリーダンス12  舞踏4  ジャスダンス7  ヒップホップダンス8  社交ダンス5  民族舞踊(フォークダンス)1
そのあと、バレエ以外のダンスをステージ上で観たことがある人が14名、コンテンポラリーダンスを友人に説明できると答えた人が6名です。これをみるとまったく知らない人は少なそうですし、とても積極的な人が集まっている感じがします。

選択式の最後はダンスのどんな分野に興味を持つかと聞きました。以下のように、自分で踊ること、鑑賞すること、ワークショップ参加という面がきちんと選択されています。ダンスについて気楽に書くということをまた一緒にやってみるのも良いのではないかとか、振付ということも難しく考えないでできるかも知れないと感じてもらうようなワークショップ機会も作れればいいのかも知れません。

問4 あなたはダンスについて興味を持つのはどの分野ですか(数字を○で囲んでください。複数回答可)
1. 自分でダンスを踊ること 21
2. 自分でダンスを振り付けすること 1
3. ダンスのワークショップに参加すること 9
4. ダンスを鑑賞すること 21
5. ダンスについてレビュー(評論)すること 1
6. ダンスについて研究(調査)すること 0
7. その他 0

8/28(水)

今日は個人研究費を使って中部東海の公立美術館めぐりをしました。もちろんそれ以外の文化施設や役所も見て文化行政を考えるのに必要な知見を得るようにデジカメをとったり資料をもらったりしました。以下、その主な項目です。

1)豊田市コンサートホール・能楽堂・図書館などがある駅前の豊田参合館ビル
2)豊田市役所南館の行政資料コーナーの充実とそれまでの緑道や野外彫刻など
3)豊田市美術館『ダブル・リバー島への旅/曽根豊展』『ロストワールド-記憶の遊園〜岡崎和郎/小沢剛/田中功起/中原浩大』『「歴史画」として:日本画、洋画、現代画を越境する試み展』
4)豊田市美術館別館の高橋節郎館を通って童子苑にて立礼式呈茶、水琴窟
5)静岡県立美術館『今、ここにある風景=コレクション+アーティスト+あなた展〜大岩オスカール幸男、日高理恵子、菱山裕子、吉田暁子』、『音のかけら〜金沢健一』、今ここ占い、スタンプラリー
6)静岡アートギャラリー(静岡市立)の様子などなど

8/29(木)

午前中は大阪市立芸術創造館で乾さんと中西さんと会って、芸術文化アクションプランの動かし方の相談をしました。10月にはフェスティバルゲートの「新世界アーツパーク事業」も3フロアほぼ同時に動き出して、より事業は多様化します(アーツアポリアと創造館の事業も合わせて「トップアップ事業」と名付けられている)。

一方、行政区域ごとの文化事業(こちらはボトムアップ事業)も様々な模索に入っているので、これを事業評価する審査会を設置し見学してもらったり意見を聞いたりする時期が近づいてきたわけです。

午後は、少し時間があったので大阪市役所の行政資料センターで予算書などを調べました。財政のあらましを書いた冊子にアクションプランなどの扱いが明示的になっていましたし、『総合計画21推進のための新指針〜いきいき大阪再生プラン』(平成13年11月)では何と「文化創造力の向上」がトップ項目になっていてびっくりしたりしました(ここにトップアップ事業とボトムアップ事業が書かれていますし、築港レンガ倉庫や元精華小学校の利用のことも明記されています)。

そのあと、サントリー不易流行研究所に出かけ、研究所の部長である佐藤さんと関経連の仲川さんとで、劇場文化研究会の資料の整理や考え方などを話し合いました。そのあとサントリーのレストランで食事。驚いたのは、隣の堂島葬祭センターと書かれたオフィスが実は中身はなく嫌がらせのものだということを聞いて、実に複雑な気持ちがしました。

『丹野賢一/NUMBERRING MACHINE〜PUNK EXECUTION-SHORT SOLO WORKS』。お二人も、シアトリカル應典院でのこの丹野賢一鑑賞(20:11〜21:43)に同行するというので、予めチラシなどをみせたり、ものは使わないけれど音量が大きかったり照明も激しかったりしますとだけは話しておきました。終わってからどんな感想を二人がもったかは聞きませんでしたが、先端芸術領域の一つの真摯なステージに遭遇したということでは何らかの印象を持ったに違いないとは思います。

【日録ソネット*13 20020829 013はさてなんだったのだろう】

タンノケンイチの ナンバリングマシーンするパンクな あれこれどれそれ
執行実行処刑に死刑執行 効果奏功製作できばえ手法 演技演奏仕上げ完成
タイトルの中の「エクスキューション」だけを日本語にしては楽しんでみた

014は裂けた傷 ステージは内向的 映像は同じ傷の丹野賢一が大都会の無機質
の通路息を殺した無色の通行人たちと交じり 016は壁應典院のホールを揺るが
して丹野の背中の衝撃を感じる スモーク 017で拡声器スピーカーは白く顔も
白いばってん息の増幅床に響き天井に木霊する客席の息まで奪ってしまう実に好
みのパフォーマンスであり 018はネット 初めて見る シンプルな這い回る網
シャツ男 夢食い小人 音消えてタンノのはーはという息がホールにこびりつく
001から008の映像回想有刺鉄線が痛そうで 011はドット水玉模様 彼のお茶
目な真面目な腕のピヨピヨが見物ならばコンピュータ音楽が聞き物カクテル光線
もおしゃれに地味でこんな結婚式を演出してみたいなと思う葬式でもいいけれど
012のボロボロ衣服ラグという喫茶店のジャズを思い出しては松本じろのギター
で哀愁色の涙川を渡り山梨の浴室に出るという暴力野郎とゴキブリから脱出する


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